講座124 言葉づかいは間接的に染つる
Yさんからの報告。
ジャングルジムで向きが変えられない女の子。
「できないよー」
お母さんは近くにいて見ているが、
「できないなら、やるんじゃねーよ」
「だから、ちがうってー」
と言い続ける。
隣でそれを見ていたお兄ちゃんも、
「○○は、できないんだからやるんじゃねーよ」
と、同じ言葉を繰り返す。
そしてとうとう見かねたお母さんが、
「もう絶対やるんじゃねーぞ」
「こっちに足向けて」
「ちがう、ちがう!」
と言いながら、
とりあえず助けました。
ひど過ぎる!
今回は私もちょっと怒ってます。
Oさんからの報告。
満席のフードコート。
席が空いたのを幼稚園ぐらいの女の子が見つけて、ダッシュして席を取る。
「はやく来いよ。おっせーよ。」
と父親に向かって一言。
子が親を叱る。逆バージョン。
2.「間接的」とは
3.言葉づかいの連鎖
1.「叱り方」は伝染する
これはもう何の説明もいらないと思いますが、
親の言葉づかいは子どもにうつります。
でも、直接うつるだけではなく、間接的にもうつります。
「ミラーニューロン」ってご存知ですか。
誰かが何かをしている行動を見ると、
まるで自分がそのことをやっているかのような反応が脳の中で起きるのです。
母親が女の子に向かって、「できないなら、やるんじゃねーよ」と言った場合、
それを横で見ていたお兄ちゃんの脳の中に反応が起きるのです。
ここ、大事です!
「それを横で見ていたお兄ちゃん」の脳の中で「反応」が起きるのです。
その反応とは次の2つです。
①お兄ちゃんの脳も「できないなら、やるんじゃねーよ」という言葉をつかっているように感じる。
②お兄ちゃんの脳にも「母親の感情」が乗り移る。
つまり、お母さんが妹に言った言葉は、
それを見ていたお兄ちゃんの脳に、
「その言葉づかい」と「その感情」をインプットさせるのです。
叱る時の言葉+叱る時の感情=叱り方
このようにして「叱り方」は伝染します。
それがミラーニューロンの働きです。
2.「間接的」とは
「言葉づかい」と「感情」が伝染してしまう。
このことをもっと真剣に考えてみましょう。
たとえば、学校の先生の中には「怒ったら怖い先生」っていますよね。
要するに「怒鳴る先生」です。
「ザケンな!いい加減にしろよ!」とかって怒鳴ったりしませんか?
そういう言動って、それを目にした、まわりの子どもたちに影響するんです。
夫婦の間でも同じです。
ひでぇ言葉で夫婦喧嘩をしていると、子どもにうつります。
大人同士の会話も同じです。
「あのジジイ!マジ殺したいわ!」
とか言ってませんか?
このような大人の言動は子どもたちに影響します。
学校へ行くと、友だちからの影響というのもあります。
学校制度は、進学するにつれて、同じような学力の子が集まるようになっていますから、
同じような言葉づかいの生徒が集まる仕組みとも言えます。
3.言葉づかいの連鎖
誰かが何かをしている行動を見ると、まるで自分がそのことをやっているかのような反応が起きる
これがミラーニューロンの働きです。
ですから「良い言葉づかい」を増やすことにも使われます。
言葉づかいの良い大人のもとでは、言葉づかいの良い子どもが育つというわけです。
「言葉づかいの連鎖」ですね。
ここで注意したいのは、「言葉づかい」は、その言葉を使っている時の感情とセットになっているという点です。
「あのジジイ!マジ殺したいわ!」と言った時の感情で考えてみましょう。
言うまでもなく、このお母さんはこのジジイを本気で殺そうとしているわけではありませんよね。
ちょっとイラついただけなのかも知れません。
ということはですね。
ちょっとイラついた時に使う言葉として、
「あの○○!マジ殺したいわ!」という言葉を学習するわけです。
そういうことですよね。
そして、これとは反対に、
「うちのおじいちゃん、ホントに優しいのよ」なんて言葉を子どもの前で口にしたら、
「ホントに~なのよ」という言い方のみならず、
人に対して、人の良い所をこのように伝えるという思いやりの心が育まれます。
「言葉づかい」と「感情」はセットで染つる
このことは人生に影響すると思います。
これはなんとなく感じることですが、
幸せそうに見える人には「言葉づかい」のていねいな人が多いように思います。
逆に、「言葉づかい」の悪い人は、イライラしていたり、愚痴ったりしていて、
なんとなく不幸せな感じに見えます。
できることなら、すべての子どもたちに「幸せ」になって欲しいと思っています。