講座585 砂場・裸足・桜の実(前編)

私は4月から中標津町のひかり幼稚園と第2ひかり幼稚園の非常勤講師として運営に携わっております。

主な役目は〈二つの園の素晴らしさ、そして幼児教育の魅力とその重要性を発信すること〉です。

そのプラットフォームとして、「ひかり&第2【発信】ページ」を開設致しました。

このページにおいて、幼稚園の保育スキルを「動画」と「文章」に分けて解説しています。

「文章」のほうは、このブログの講座で「保育スキル」として解説しています。

「動画」はYouTubeです。

動画は短めで、文章は詳しく解説しています。

お好きなほうを選んでいただける形にしています。

共通しているのは「保育スキル」を「対応」「見取り」「環境設定」に分類している点です。

保育に限らず、家庭での子育ても含めて、

幼児教育はこの3つに分けて考えると分かりやすくなります。

今回は幼稚園での「砂場」と「桜の木の実」を使った遊びについて解説します。

これは三つの中の「環境設定」に当たります。

私は幼児教育の分野で尊敬している人物が三人います。

倉橋惣三先生

斎藤公子先生

坂東義教先生

三人とも故人です。

倉橋惣三は、日本で最初の幼稚園である東京女子師範学校附属幼稚園(現・お茶の水女子大学附属幼稚園)の「主事(現在の園長)」を務めた人物です。

この幼稚園が出来たのは、1876年(明治9年)11月16日で、現在この日は「幼稚園記念日」になっています。

倉橋惣三は、この幼稚園で23年間にわたり園長を務め、日本の幼児教育をガラリと変えました。

有名な言葉に「生活を 生活で 生活へ」があります。

これは、子どものありのままの姿(生活を)もとにして、その事実を見取って対応することで(生活で)、こどもの発達へと導く(生活へ)プロセスを意味します。

また、「うれしい先生」という言葉も有名です。

泣いている子どもがいたときに、「泣かずにはいられない心もちへの共感」が大切であり、その心もちに共感してくれる生が「うれしい先生」なのだと言います。

こうした「プロセス」や「共感」に基づいた幼児教育を実践して日本の保育観を変えたことから「「日本のフレーベル」とか、「幼児教育の父」などと言われています。

私は『倉橋惣三物語・上皇さまの教育係』(講談社)という本で倉橋を知りました。

この本は彼の孫にあたる倉橋燿子さんとひ孫にあたる倉橋麻生さんが書いたものです。

一気に読んで感動したのを覚えています。

読み終わった時に「NHKの朝ドラでやってくれないかなあ」と思いました。

それほど彼の人生は波乱万丈で学ぶべきことが多くあるものです。

関心のある方はぜひ読んでみてください。

倉橋は、東京女子師範学校で保育実習科の先生もしていました。

その学科を卒業したのが、現在の保育界に多大な影響を与えた人物・斎藤公子です。

斎藤公子の保育方針は「さくら・さくらんぼ保育」として知られ、今なお多くの園で受け継がれています。

斎藤公子の最大の特徴は、単に子どもを優しく見守るだけでなく、「人間の進化」や「脳科学・医学」などの科学的知見を保育に融合させた点にあります。

私は学生の時に、斎藤公子の『ヒトが人間になる―さくら・さくらんぼ保育園の365日 写真集』という本を愛読していて、その世界観に魅了されました。

そこから、幼稚園課程の単位を取り、幼稚園教諭の二種免許を取得することになります。

私の最初の勤務先は小学校でしたが、小学生を相手に「さくら・さくらんぼ」的な実践をしました。

山菜を採って料理して食べたり、演劇の身体レッスンをしたり、教室で犬を飼ったり、既存の枠組から飛び出して〝変な授業〟ばかりしていました。

そのせいで教科の授業が疎かになってしまい、校長先生に授業を奪われてしまったこともあります。

今にして思えば、完全に「しくじり先生」でした。

しかし、今こうして幼児教育に関わる立場になり、子どもたちの姿を見ることができるので、私の中に眠っていた「さくら・さくらんぼ」の保育方針が甦って来ています。

斎藤公子は、沢山の刺激的な言葉を遺していますが、その中から一つ紹介します。

水道の蛇口がどのくらいあるか、砂場のところに水があるか、ないかで、そこの保育者の心がわかります。砂場が乾いていたら、「保育者に保育する心がない」というぐらいに私は厳しいのです。出典:「斎藤公子の保育論』

怖いですね。

実際、斎藤は厳しい方でした。

もちろん子供達には徹底的に優しい先生でしたが、保育に対する向き合い方が半端ではありませんでした。

この「砂場が乾いていたら、『保育者に保育する心がない』」という言葉の意味については後で解説したいと思います。

次に、三人目の人物・坂東義教先生です。

坂東先生は、子育てにおける教育学や心理学をテレビというメディアを通じて一般の家庭にわかりやすく翻訳して届けた「子育ての伝道師」「お茶の間の人気解説者」です。

その面白いキャラクターがブレイクし、朝のワイドショーなどのテレビ番組にレギュラー出演し、一躍全国区の教育評論家となりました。

今で言えば「尾木ママ(尾木直樹先生)」のような存在です。

北海道函館市の出身で、私の母校である北海道教育大学の先生でした。

ご自宅が大学のすぐそばにあり、部活のランニングの時には、よくその前を走っていました。

「坂東」という白い石の表札を見ては、「坂東先生の家だ」と思いながら走ったものです。

実際にお会いする前に坂東先生は亡くなられてしまいました。

1978年(昭和53年、講演先だった長野県からの帰途、タクシーの車中で意識を失い、脳出血のため51歳の若さで亡くなられました。

その突然の死は、レギュラー番組で追悼特集が組まれるなど、多くの視聴者に惜しまれた。

私もその番組を観ています。

ですから私はどうしても「坂東先生」と「先生」を付けた言い方になってしまいます。

実際に教えを受けることが出来なかった私は、本やカセットテープ集で学びました。

その「教え」はこのブログでも何度か取り上げています。

たとえばこれです。

私はこれを、坂東先生の「愛は壺に貯まる理論」と呼んでいます。

今で言う「愛着障害」への対応の仕方につながる考え方だと思います。

以上の三人の方から私は幼児教育に関する影響を受けています。

今回の記事は「講座585 砂場・裸足・桜の実」というタイトルですが、

その内容を書く前に、どうしても三名の方の紹介をしておきたくてこれを書きました。

長くなりましたので、今回はその前編として、具体的な内容は後編へつなぐことに致します。


🍎YouTube動画での解説はこちら!
中標津ひかり幼稚園【研究】チャンネル

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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