本の紹介

『ルポ・保育格差』

投稿日:2020年4月25日 更新日:

帯:子どもは人質!?入った園で大違い!

今回ご紹介するのは、小林美希著『ルポ・保育格差』(岩波新書)2018年4月発刊。折り目3つです。

「人質」だなんて、なかなか過激な帯です。ちょっとだけ中身を紹介します。

子どもが保育園に行きたくないと言った時、適切な保育をしていない可能性もあり、じっくり子どもの話に耳を傾ける必要がある。そして、送り迎えの時には子どもたちが保育士ににきちんと物をいえているか、保育士の声がけはどうか観察し、他の保護者と情報交換する。何かおかしいと感じたら、園長や主任に相談。それでも解決しなければ、第三者委員や自治体に相談するしかない。(33ページ)

一見過激なことのようですが、よく考えると、ここに書かれてあることはいたって当たり前のことだと思います。保育所だけではなく、学校でも同じです。

子どもの体の異変から「学校で何かあったんじゃないか?」という見方をするのは必要なことです。むしろ保護者の義務です。我が子を通して園所学校のことを知ろうとする姿勢は親として普通のことだと思います。

「送り迎えの時」は貴重な観察の場面。

「保護者同士の情報交換」は貴重な相談場所。

「相談先ルートを知っておく」というのも組織を相手にする基本です。

忘れてならないのが、保育所で出会う「人」こそが、親子にとって一番の保育環境ではないかということ。保育士に力量があるかどうかが大きく問われ、そこに大きな保育格差が生じるのではないだろうか。(44ページ)

特別支援教育では「人こそ環境」という考え方があります。特に、発達障害の子にとっては、発達障害という診断がつくかどうかが「人」という環境によって変わってしまうほど重要なことです。

また、障害の有無、園所学校にかかわらず、すべての子どもにとって「人」は環境です。このことは保育士のみならず、子どもに関わるすべての大人が理解しておくべき大事なことです。

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