講座397 子どもの居場所とは何か(後編)

講座396の続きです。

「こども家庭庁」の調査では、居場所が「欲しい」と答えた児童生徒が72%でした。

実際に居場所が「ない」と答えた子は37%でした。

そして、私の考えでは「遊べる時間」「遊べる仲間」「遊べる空間」が10歳までの居場所だと書きました。

では、10歳以降の居場所とは何か?

今回はそのことについて書きます。

 目 次
1.居場所は「キャラ」
2.キャラはどこでつくられる?
3.非共有環境(家庭以外)がキャラを決める

1.居場所は「キャラ」

多くの人は家の中と外では自分のキャラを変えているはずです。

分かり易いのは電話です。

家にいる時に急に電話がかかってくると、声を高くして丁寧な話し方をしますよね。

こういう人はキャラを変えているのです。

家の中では「くつろいで自分丸出しのキャラ」、でも外では「凛々しくしっかり者のキャラ」といように、内と外でキャラを変える人が多いはずです。

では、そのキャラ作りはいつ頃から始まりましたか?

就職してから?

いや、もっと前でしょう。

小学校高学年の頃には「家にいる時の自分」と「学校にいる時の自分」を使い分けていたのではないでしょうか?

10歳を境にキャラを使い分ける

これが私の仮説です。

10歳以降になると「外での自分」と「内での自分」が出来て、それを使い分けて生活するようになると思います。

思春期は「親より友達」という価値観に変わる時期です。

家族ではなく友達との間で自分の価値観を持たねばなりません。

具体的に言うと、友達の中における「自分のキャラ」です。

そのキャラ設定が小学校高学年から始まっているのではないでしょうか。

青年前期の「これが自分」というのがキャラ(自我)です。

現在、我が子が幼児期や児童期という方の子育ては「キャラづくり」をそっと見守るというステージへ入ります。

2.キャラはどこでつくられる?

では、子どもはどうやって自分のキャラを形成していくのでしょう。

人間の性格は「5つの要素」で決まることになっています。

これを「ビッグ5(ファイブ)」と言います。

この5種類です。

①Openness(開放性)…想像力豊かで革新的な部分
Extraversion(外向性)…社交的・積極的・活発といった部分
Conscientiousness(真面目さ)…責任感や自制心といった部分
Neuroticism(神経安定性)…穏やかさ・細かさといった部分
⑤Agreauleness(協調性)…他者への共感力が高く思いやりなどの部分

性格はこの5つのバランスで決まるというのが「ビッグ5理論」です。

お子さんはどれが強そうですか?

保護者であるあなたはどうですか?

興味深いのは「それぞれの要素の約半分は遺伝によるものだ」という点です。

自分に似ているお子さんはいませんか?

いたとしたら遺伝かも知れません。

でも残りの半分は環境です。

子どもの性格は環境にも左右されるのです。

そして、この場合の環境というのは家庭以外の環境(非共有環境)です。

具体的に言うと、学校や部活や習い事などです。

そのような家庭以外の場が人の性格形成に影響していることがわかっています。

つまり、

キャラは家庭以外の環境によってつくられる(遺伝要素を除けば)

ということです。

3.非共有環境(家庭以外)がキャラを決める

ですから、「学校・学級」という環境は、勉強をすることだけが重要なのではなく、子どものキャラ(居場所)を決める重要な要素なのだということです。

そのクラスの中で「暗い」とか「おとなしい」と思われれば、それがその子のキャラになる可能性があり、

「明るい」「おもしろい」と言われれば、本当にそのような性格になってしまうというわけです。

逆に、「居場所がない」という子は、自分のキャラを見つけられないでいる子かも知れません。

学級担任はよく子どもたちに対して「その子のいい所」を指摘したり、友達同士の中で指摘し合ったりさせますが、そういう活動はとても重要な意味を持ちます。

思春期になっても自分の居場所がない子は、「一人の時間」「自分の部屋」が居場所になってしまいます。

高校・大学、就職へと進めば、家庭から離れる時間は増えます。

これは多様な非共有環境と出会機会が増えることでもありますから、その段階で「自分」を見つける子もいるでしょう。

そういう長いスパンで「これが自分」というものを見つけるのを見守る必要もあります。

いずれにしても、小学校高学年~中学・高校と、自分探しの旅は始まります。

親の手が及ばなくなる期間です。

そう考えると、「児童期の自信」は非常に大切です。

その自信は勉強だけではありません。

ビッグ5の中のどれか一つでも構いません。

良い所があれば自信と結び付けておきたいですね。

①Openness(開放性)…想像力豊かで革新的な部分
Extraversion(外向性)…社交的・積極的・活発といった部分
Conscientiousness(真面目さ)…責任感や自制心といった部分
Neuroticism(神経安定性)…穏やかさ・細かさといった部分
⑤Agreauleness(協調性)…他者への共感力が高く思いやりなどの部分

自信 → 自分 →

エリクソンの心理社会的発達段階でその次に来るのが恋愛です。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

おすすめ

1件の返信

  1. タミー より:

    人前で甘えず家で甘えるのはキャラとは別なのでしょうか?
    今後の娘がどんなキャラになるか責任もありますが、楽しみでもあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です