講座390 我が子が「悲しんでいる時」の対応
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/05/buranko_girl_sad.png)
この三月に、ご両親の引っ越しなどで「友達とのお別れ」を経験したお子さんはいませんか?
今回は3歳で「友達とのお別れ」を経験したAちゃんのお話です。
2.私の頭の中
3.Aちゃんの頭の中
4.お母さんの対応
5.「悲しい時」の行動
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/04/f0c4727df5ff517e9e4734ea1cf7988c-1024x59.jpg)
1.年少さんの時の「お別れ」
AちゃんにはBちゃんという大好きなお友達がいました。
それが今年の三月にお別れ。
よほど悲しかったのでしょう。
四月中は情緒不安定が見られたそうです。
最近になってよっやく落ち着いてきたなあと思っていたところに、昨年の「園便り」が出てきました。
偶然にも二人が写っている写真が載っていました。
「あ!BちゃんとAだね」
お母さんが言うと、
「Bちゃんたら、私の真似するんだよねー」
と言いながら、突然ポロポロ涙をこぼし、
「Bちゃんに会いたいなあ」と悲しんでいました。
お母さんは、
「どこかであえるといいね!」と言いながら、ぎゅっとハグされました。
3歳でもこんなに寂しさで涙を流すんだなあとお母さんも泣きそうになりました。
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/04/122b4c1821d276645043f1771fb124d0-1.jpg)
2.私の頭の中
素敵なエピソードですね。
私はこのお話を聞いた時に二つのことが頭に浮かびました。
(1)Aちゃんの感情が豊かに発達していること
(2)お母さんの対応の適切さ
せっかくの素敵なエピソードなのに私の頭はどうしても分析的に働いてしまうのです。
どんなことを分析してしまったのかを説明させてください。
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/04/122b4c1821d276645043f1771fb124d0-1.jpg)
3.Aちゃんの頭の中
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/05/body_nou.png)
脳が二階建てになっていることは何度も出て来たと思います。
薄いピンクが「動物脳」で、濃い赤が「人間脳」です。
この二重構造には、いろいろな表現の仕方があります。
「本能と理性」
「感情と言語」
「無意識と意識」
「頭の中心とおでこの裏」
では、Aちゃんが「突然ポロポロ涙をこぼし」たのは脳の働きのどちらだと思いますか?
そうです。感情ですから「無意識」です。
自然に涙がこぼれたわけです。
でも、ほとんど同時に言葉で表現していますよね。
「Bちゃんたら、私の真似するんだよねー」
「Bちゃんに会いたいなあ」
これはどちらの脳の働きですか?
言葉ですから「意識」です。「おでこの裏(前頭前野)」です。
記憶もひっぱり出していますね。
これはエピソード記憶(側頭葉)です。
悲しい出来事は、今後生きるために必要なこととして脳の中心部分に貯蔵されています。
何が言いたいかと言いますと、Aちゃんはこんな風に「感情」と「記憶」と「言語」を使って過去の出来事を振り返っているのです。
脳内ネットワークが人間らしく機能しているということです。
言葉に出さないで、ただ何となく涙を流す場面と比べると、脳の働きが異なるわけです。
「言葉にしている」というのは「豊か」「人間的」ということです。
私はそんな風に分析してしまうわけです。
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/04/122b4c1821d276645043f1771fb124d0-1.jpg)
4.お母さんの対応
今度は、その時のお母さんの対応について考えてみましょう。
Aちゃんの悲しみに対して、お母さんはどうしたでしょう。
二つのことをしました。
この二つにも意味があるのです。
この二つもまた「人間的な」「豊かな」対応だったのです。
「どこかであえるといいね!」と言って、ハグした。
言葉で励まし、体で「ぎゅっ」とした。
お母さんの言葉はAちゃんの「おでこの裏」で理解され、その言葉は「優しい言葉」だったので、その言葉は「優しい気持ち」として感情に入り込みます。
それと同時に、「ぎゅっ」とハグされた時に、脳の付け根からセロトニンが分泌されて、安心感を得ることができたはずです。
お母さんもまた、「言葉」と「本能」を使って、豊かに対応されたわけです。
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/04/122b4c1821d276645043f1771fb124d0-1.jpg)
5.「悲しい時」の行動
このエピソードを知った時、私はAちゃんのお母さんに次のような言葉を発信しました。
おいしいものを食べるといいよ。
最後に、このことについて解説します。
おいしいものを食べると本能が「幸せ気分」を感じることが知られています。
この「おいいしいもの」というのが、Aちゃんの大好物でもいいですし、ちょっと贅沢なものとか、外食に行くとか、甘い物を食べるとか、何かちょっと「特別なこと」でいいのです。
目的は「幸せ気分」を感じるためですから。
そうすると脳の中では、 セロトニンやβ-エンドルフィンといった幸せホルモンが分泌されます。
ちょっと楽しい気分になるとドーパミンも出ると思います。
私の場合ですと、お酒とおつまみですね。
これは毎日欠かせません!
![](https://win3.work/wp-content/uploads/2023/04/122b4c1821d276645043f1771fb124d0-1.jpg)
脳科学の分析、勉強になります。
悲しい後もハグや美味しいもので満たされ、次にまた頑張れると良いなと思いました。
悲しむことも大切ですよね。
親としては悲しい体験をさせたくないと思ってしまいがちですが、こんな貴重な機会でもあるんだなと教えていただきました。悲しい出来事に出会うことは人生で必ずあることなので、対処策を経験させてあげることが大事ですね!
「別れ」というのは悲しいことだと実感することで、人との付き合いを大切にするようにヒトは進化してきたらしいです。