講座367 「スマホ/ゲーム障害」のABC

①スマホが手元にあり、四六時中使っている

②会話よりスマホでのやり取りのほうが楽しい

③スマホを操作して夜更かしすることが多い

④1日に何度もSNS、メールをチェックする

⑤長時間、夢中になって動画を視聴する

⑥他人との会話中、食事中でもスマホを使う

⑦スマホが使えない環境であると不安を感じる

あなたはいくつ該当しますか?

私は④だけでした。

たくさん該当した方は「スマホ依存」かも知れませんよ!

今回は「ゲーム依存・スマホ依存」について解説します。

 目 次
1.「依存」って何?
2.依存のメカニズム
3.「捌け口」としてやらない!
4.置き場所とルール
5.家族という要因
6.年齢が低いほど依存しやすい

1.「依存」って何?

依存症には次の2タイプがあります。

(1)物質の依存症 : タバコ、アルコール、薬物など

(2)行為の依存症 : ギャンブル、インターネット、買物など

依存性があるものの多くは法律で年齢制限があります。

人間脳(前頭前野)が完成するのは24歳と言われていますから、コントロールが未熟な年齢では法律での制限が必要なわけです。

でも、スマホやゲームは依存性があっても年齢制限がありません。

だから難しいんですよね。

スマホの所有率は6年生で5割、中学2年生で8割と言われています。(モバイル社会研究所

ま、20代ではほぼ100%の人がスマホを使うわけですから、いつかは使うわけです。(一般向けモバイル動向調査

そうなると、いつ使わせるか、どう使わせるかの問題です。

そして、

「依存症」にならないように使わせる

ということが重要になると考えます。

逆に言うと、

「依存症」にさえならなければいくら使っても大丈夫!

ということだと思います。

では、「依存症」とは何でしょう?

依存症は、日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の物質や行動をやめたくてもやめられない(コントロールできない)状態(厚生労働省

要するに、「日常生活に問題が生じる状態」であれば病的(依存症)だということです。

2019年5月にWHO(世界保健機関)が「インターネット・ゲーム障害(Internet Gaming Disorder)を新たな依存症として認定しました。

一般には「ゲーム障害」とだけ言われますが、私はこの「インターネット」の部分は「スマホ」に置き換えて構わないと考えます。

つまり、「スマホ障害」と「ゲーム障害」が「Internet Gaming Disorder」です。

WHOの定義に基づき、「インターネット」の部分を「スマホ」に置き換えて読んでみます。

①スマホやゲームに関する行動(頻度、開始・終了時間、内容など)がコントロールできない
②スマホやゲーム優先の生活となりそれ以外の楽しみや日常行うべき活動が減る
③スマホやゲームにより個人、家族、社会、教育、職業やそのほかの重要な機能分野において著しい問題を引き起こしているにもかかわらずがやめられない
以上①~③が12ヵ月以上続いている状態

これが「スマホ/ゲーム障害」の診断基準です。

神戸大学の曽良一郎教授によると日本での有病者は100万人を超えているそうです。

その目安は「1日4~5時間以上」の使用です。

つまり、1日4~5時間以上スマホを触っていたり、ゲームをやっていたりしている人は「依存症」と考えられます。

2.依存のメカニズム

では、どうすれば依存症にならない程度に使えるのでしょうか?

実は文部科学省が素晴らしい資料を出しているのです。

楽しんでいるうちはいいのです。

「楽しくスマホをいじる」「楽しくゲームをする」のは健全な使い方です。

ポイントは②です。

だんだん物足りなくなる

使う時間が長くなったり、課金したくなったり、エスカレートする状況が待ち構えています。

こうなる理由は2つあります。

A】スマホもゲームもお金を使わせるように作られているから

【B】人間の脳は同じものでは快感を感じなくなるようになっているから

このメカニズムを知っておく教えておくことが重要です。

3.「捌け口」としてやらない!

メカニズムはまだあります。

文科省の資料では次のように書かれています。

いずれの嗜癖行動も興味・関心から始まりますが、のめり込むかどうかは、以下の要因が関わると考えられています。
 ① 心理的な要因 (ストレスなど)
 ② 環境的な要因 (簡単に手に入れやすい、いつでも、どこでもできる)
 ③ 家族の要因 (家庭環境等)

この三つはかなり重要です。

まず、①が超重要な問題です。

依存症というのは、「不安傾向が強い人」「抑うつ傾向が強い人」「衝動性が強い人」がなりやすい疾患です。

その中には発達障害を持っている人が含まれている可能性もあります。

ここで、発達障害の診断基準を確認しておきます。

発達障害を持っている人はたくさんいますが、その中で「発達障害」という診断が下りる人は日常生活に問題を抱えている人だけです。

大きな問題がなく日常生活を送っている人は発達障害を持っていても診断には至りません。

そこで話を戻しますが、もし、発達障害を持っている人が日常生活にストレスを感じて、ストレス発散のためにスマホやゲームにのめり込んでいるとしたら、それは依存症のみならず、発達障害の症状をも悪い方へ向かわせてしまう可能性があります。

そして、このことは発達障害以外の人にも言えます。

要するに、ストレスの発散や不満の捌け口として依存するのはよくないということです。

なぜなら、スマホやゲームに向かっても「ストレス」や「不満」の根本要因はなくならないからです。

重要なのは根本的な原因の解決に向かうことです。

自分で解決できないような問題であれば、相談し、支援を受けてでも解決に向かうべきです。

それをしないでスマホやゲームに向かうことは依存への道を突っ走る行為となります。

【C】心理的な要因から依存することがある

これが最も危険なことです。

やけ酒を飲むようなイメージですね。

逆に、これ以外の場合は「楽しんでるからいいんじゃない」という感じで見守っていられます。

適量の晩酌というイメージです。

4.置き場所とルール

【D】環境的な要因 (簡単に手に入れやすい、いつでも、どこでもできる)

簡単に言えば「置き場所」です。

個室や寝室に置けば触りたくなります。

コントロールできる自信があればいいのですが、無理だと思ったら近くに置かないことです。

大人は自分でこうしたルールを設定できますが、子どもの場合は親と相談してルールを決める必要があるでしょう。

その場合、大切になるのは「合意」です。

子どもが納得する形で決めなければルールは破綻します。

こっそり使い出すに決まっています。

大人だって難しいのですから「合意」は最低条件です。

最低条件と書いたのは、合意して作ったルールでも守れないことがよくあるからです。

親と子が試行錯誤しながら使いこなしていくつもりでいいと思います。

この依存性機械には法律による年齢制限がないのですから難しいのです。

しかも成人したらみんなやるのです。

親から離れたら全くの自由です。

ある日突然自由になるよりは、試行錯誤の練習期間があった方が望ましいと思います。

「置き場所ルール」の他に、「貸し出しルール」というのもあります。

スマホやゲームを親の所有物として子どもに貸し出す方法です。

守ることができなければ使えなくなるというルールを作るわけですが注意が必要です。

守ることが難しいルールだと「こっそり破る」という行為を引き起こす可能性があります。

また、本来は楽しんで使うものですから、ストレスが伴うような使わせ方はタブーです。

楽しく使いながら、様々な知識を身につけ、成人したら自由に安全に健康的に使えるようになる。

これが方針です。

5.家族という要因

文科省の資料には「のめり込むかどうかの要因」の三番目に「家族の要因」というのがありました。

これは簡単に言うと、「親が使っていれば使う」ということです。

当たり前ですね。

ただし、ここで意味しているのはもっと具体的なことです。

子どもは次のような姿を見ているはずです。

①どのくらい頻繁に使っているか
②どんなアプリを使っているか
③どんなサイトを閲覧しているか
④どんな楽しみ方をしているか
⑤どんな役立て方をしているか
⑥どんな場所で使っているか
⑦どんな姿勢で使っているか
⑧どんな反応をしているか

こういうのが「家族の要因」です。

【E】家族の要因 (家庭環境等)

私には0歳の孫がいますが、0歳児でもそうなります。

お母さんがスマホをいじっているのを赤ちゃんは興味を持って見ます。

お母さんはこっそりやっているつもりでも赤ちゃんは見ているはずです。

なぜなら、0歳児は遊びに熱中している時にも確認行動といってお母さんの存在を時折チラッと確かめるのです。

チラッとなので気づかないことが多いのですが、この時にお母さんがスマホを触っていたら、その触り方まで目で学習してしまいます。

私の孫がそうです。

まだ0歳ですが、スマホを持たせると指一本で「タップ」も「スワイプ」も出来ます。

ましてや幼児や小学生ならもっと高度な使い方ができるでしょう。

親の使い方も重要です。

6.年齢が低いほど依存しやすい

スマホの魅力は凄いです。

親も使わないわけにはいかないので、いつかは持たせるようになると考えておいた方がいいでしょう。

ただし、次の知識が大切です。

【F】依存は、年齢が低いほど陥りやすい。

当然ですが、コントロールの司令塔である人間脳(前頭前野)がまだ育っていないからです。

ですから大人の助けが必要です。

その助けのヒントとして【A】~【F】にまとめてみました。

スマホやゲームについては、まだまだ書きたいことがあるのですが今日はこのへんで。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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2件のフィードバック

  1. タミー より:

    大事な発信をありがとうございます。
    スマホで写真をよく撮ります。
    未就学の娘も自分の写真を見たり、私のように写真を撮ったりします。
    私の使い方があらわれているので、自分の使い方を見直そうと思います。
    是非続きも勉強させてください。

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