講座170 幼児期の体験はチャリーン!
まずは動画をご覧ください。
1歳ですよ。
普通、料理のお手伝いなんかさせませんよね。
ところがこのお母さんは、どんどん、いろんな体験をさせちゃうんですよ。
今回は「煎り玉子」を一緒に作っているシーンです。
このシーンから何がわかるでしょう。
(1)開始0:00秒の表情 鍋を見つめている
真剣です。鍋は熱いから気を付けなきゃという緊張感でしょうか。
この「真剣になる」という瞬間だけでも貴重な時間です。
脳の中で「真剣になる回路」が発達していることでしょう。
この1秒間だけで1万円くらいの価値がありますね。
はい!1万円チャリーン!
(2)開始0:03秒 鍋に溶いた玉子を入れる
お母さんが我が子の手をつかんで入れていますよね。
これ、ほとんどお母さんがやってるんじゃない? と思うでしょ。
本当にそうでしょうか?
わからないですよ。
もしかしたら、子どもの頭の中では「自分でやってる」という意識かもしれません。
私はどちらかというと、そうなんじゃないかと思います。
子どもって、手伝ってあげても「自分でやった」と思うことがありますよね。
「手伝ってもらってできた」というのはもっと先の話で、
この年齢ではむしろ、お母さんの体と一体化して感じているかも知れません。
ま、それはともかくとして、
もし、この作業を子どもに任せたらどうなると思いますか?
ひとりじゃ出来ませんよね。
鍋に手が届くかどうかも怪しいです。
身体が発達していない。でも脳は発達している。
そう考えたらどうでしょう。
身体的な動きだけをサポートすれば、頭の中では作業しているつもりになれる。
作業の手順を覚えたり、「玉子」「入れる」「鍋は熱い」などの言葉も理解している。
そう考えたら、母親のサポートはすごく意味のあることだと思いませんか?
この数秒間だけでも3万円くらいの価値がありますね。
チャリーン!
(3)開始09:00秒後くらい 体の密着
なんだお母さんがほとんどやっているじゃない!
そういう下種な考え方からは見えないことがあります。
大事なことはまだあります。
たとえば、スキンシップです。
この作業の間、子どもはお母さんと密着していますよね。
それも普段より濃密な密着です。
お母さんに体を包まれている感じです。
そうです!これはスキンシップの時間なのです。
愛着形成をしているという見方ができるわけです。
これがお手伝いのメリットです。
お手伝いは結果だけじゃないのです。
お母さんと一緒に濃い時間を過ごせる。
このことにこそ大きな意味があるのです。
この時間は2万円くらいの価値がありますよね。
チャリーン!
(4)開始13秒後くらい 鍋の中を見ている
見てますね。
料理をやってる感じになってますよね。脳の中が。
脳の中が大事なんです。
溶き卵がだんだん固まっていく様子を見ている(体験している)
これはそういう体験でもあるんです。
「固まっていく」という言葉の意味よりも先に、
「固まっていく」という体験をしている。
その体験を何度かしているうちに、
いつになるるかはわかりませんがその体験が「何か」とつながる可能性があるじゃないですか。
たとえば、砂場でお料理ごっこをする時にその体験が出てくるかも知れません。
たとえば、2歳になったときにお母さんが発した「固まる」という言葉につながるかも知れません。
体験はそうした「投資」なのです。
溶き卵がだんだん固まっていく様子を見る体験に1万円!チャリーン!
そうやって動画を見ていくと、他にもいろいろ価値が見つかるかも知れません。
たとえば、鍋の中をぐるぐるかき混ぜるときの「ぐるぐる」とか。
探せば価値はまだまだありそうです。
この20秒くらいの出来事だけでも、総額10万円くらいの価値はあるでしょう。
幼児期の体験というのは斯くも貴重なわけです。