講座4 日本一「見守ってあげる」お母さん(後編)

山形の小松さんから「中編」の感想をいただきました!

「知」があるから自然に「愛」を発揮できる。
この言葉,ノートに書きました。

特別支援学級の初めて担任になり,いろんな本を読んだり,勉強会に参加したりしていますが、私には,このブログの子育てのお母さん目線の話がとてもストンときます。

「あれをさせよう」「これを頑張らせたい」
と,いろいろなことを提示するのですが,ことごとく空振りをしています。

前回の「愛のスキル」を意識しながら子どもたちと接すると,なぜかほんわか優しい教室の空気が生まれました。

「知っている」ことが前提です。その通りですね。
たくさんの知識をインプットしていきながら,
これから、苦行じゃなく仕事をしていけたらいいな、と思っています。

このブログが学校教育の場でもお役に立てるなんてうれしいです!

いやあ、ホントに「知」なんです。

昨日、読んだ本のことを書いていいですか?

家族の誰かが急に倒れたら救急車呼んじゃう人が多いっていう話です。

普通、呼んじゃいますよね。

でも、知識のある人は、

《救急車を呼ぶ=救急隊員を呼ぶ=心肺蘇生を認めざるを得ない》

っていうところまで判断して呼ぶそうです。

倒れた人が高齢者だった場合、肋骨がポキポキ折れようとも救急隊員は胸部圧迫を施します。

それが使命なんです。家族であっても止められない。

「救急車を呼ぶ」ということは、そういうことなんです。

また、倒れた時は一人で、後から家族がそれを発見した場合は、警察が検視します。

これも任務ですから家族の反対は通りません。

《救急車を呼ぶ=警察の検視を覚悟する》っていうことも考えに入れなくちゃなりません。

でも、そこまで知っている人は意外と少ない、。

まさに「知っていることが前提」という話でした。

では今日もマサミさんの子育てについて、ご紹介していきます!

5.子どもを見守るのが苦手なお母さんへのアドバイスをお願いします!(2パターン)

【口出しタイプ】
子どもを観察してみてください。
何をやろうとしていますか?
少しぐらいイタズラしたって大丈夫です。
やりたいようにした後の子どもの顔は満足していますよ。
危険じゃなくて人に迷惑をかけないならOKぐらいのおおらかな気持ちで過ごしてみると新しい世界が見えてくるかもしれません。
息子は毎日長靴で外出しています。
気づいたら裸足で歩いていることもあります。

少しぐらいイタズラしたって大丈夫です。

台所で長靴を履いています。

普通のお母さんなら怒りますよね。

マサミさんは、どうしたか。

「おもしろいねえ」
「でも、家の中では長靴は履かないよ」

まさに「おおらか」ですね。

この件についての詳しいことは、講座75にありますのでそちらをご覧ください。

【長く付き合えないタイプ】
たまには子どもと付き合ってみませんか?
一緒に遊ぼうとしなくていいのです。
スマホを触るなど好きなことをしていいのです。
ぼーっと過ごして頭を空っぽにするのもいいですよ。
もちろん今は暑いですよね。
それでも付き合ってみる。
付き合い終えたら子どもとケーキ屋さんに寄るなどのご褒美を与えてもいいかもしれません。
私はしょっちゅう自分にご褒美を与えています。
先日1km先の公園までストライダーで移動しました。
公園で1時間半遊ぶのに付き合いました。
「もう帰る」と言ったので、公園近くのローカルハワイアンカフェで息子とココナッツゼリーやバナナパンケーキを食べました。もちろん夫には内緒です

「子どもに付き合う」と「おいしいものを食べる」の一石二鳥ですね。

これは私の推測なのですが、

多分マサミさんは最初から自分の行動を立てているのではなく、

「うーん。今日は外遊びさせよっか…」
「でも暑いな」
「そうだ!涼しい喫茶店でパフェでも食べて帰るってのはいいかも!」

などと、「息子の幸せ」+「自分の幸せ」

を、実現できる過ごし方を考えたんじゃないかなと思います。

このような考え方をポジティブ心理学では次のように言います。

自分自身の可能性による理想の実現

簡単に言いますと、実現可能な範囲でお得な方法を考えて実行するということです。

実現可能ですから実現できて「幸せ」になるんです!

6.これまでの「見守りエピソード」で何かあれば教えてください。

息子が2歳になったぐらいから私から離れて遊ぶことが増えました。
そして、いろんな所に連れて行きました。
いろんな公園、港、海、図書館、子ども文化科学館、駅、バスの発着場、消防署、交番、お店、動物園、水族館…
ほとんど家でまる一日過ごすことはありません。年に数日でしょうか。
それぐらい何かしらの体験をさせてきました。
毎日へとへとです。
それでも息子のために出掛けています。

外出、大事ですね。

引きこもってちゃいけません。メンタルやられます。

外出するといろんな刺激がありますよね。

親だけでは不可能な刺激を子どもに与えることができます。

他人とのコミュニケーションは親自身への刺激になります。

まとめ

以上、マサミさんへのインタビューをお届けしました。

最初はひとつの記事に収める予定でしたが、書きたいことが次々と出て来て3回になってしまいました。

この3回を最後にまとめるのは、なかなか難しいのですが、

最近、注目されている「ポジティブ心理学」に当てはめて整理してみようかと思います。

知ってますか?ポジティブ心理学。

これは「ポジティブ思考」とは別なんです。

ポジティブ心理学では、ネガティブ思考も認めています。

自分自身のネガティブな思考も認めつつ、「幸せ」を追求するんです。

その場合の「幸せ」を「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉で表現します。

well-beingには様々な訳語がありますが、

私が、いいなと思っている訳語は「持続可能な幸せ」という言葉です。

実現不可能な理想的幸せではなく、

「やってみよう(自己実現と成長)」
「ありがとう(つながりと感謝)」
「なんとかなる(前向きと楽観)」
「あなたらしく(独立とマイペース)」

という4つの因子で定義される幸せです。

これが「自分自身の可能性による理想の実現」という考え方です。

マサミさんの子育てには、このポジティブ心理学の思考があるように思うのです。

子どもを観察してみてください。
何をやろうとしていますか?

我が子を観察するって難しいですよね。普通はしませんよね。

親に余裕が必要、だと思いませんか?

でも、必要なのは「余裕」じゃないのです。

必要なのは好奇心です。

マサミさんの観察の目的は「息子は何をやろうとしているんだろう?」という好奇心です。

自分に無理をして観察しているわけではありません。

「子どもの立場になって考える」というキレイな言葉もありますが、

そんな説明で処理してはいけません!

そういう理想を掲げるとwell-beingは実現できません。

なぜ、マサミさんは息子の立場になって考えてみようとするのか。

ここが大事です。

なぜだと思いますか?

もう答えは出ていますよね。

好奇心です。マサミさんの好奇心です。

別な言葉で言うと「子育てに対する知的欲求」です。

この反対側にあるのが「固定思考」です。

《息子が長靴のまま台所に立っている=叱る必要がある》という思考は、

好奇心ではなく、「~すべきである」に基づいた固定思考です。

この「~すべきである」という立場に立てば、観察する必要などいりません。

「何やってんの!」

即、注意!です。

ところが、知的好奇心に基づくと、

《息子が長靴のまま台所に立っている=どうしようかな?何が正解かな?》

となります。傍目には「余裕がある」と思われるでしょう。

また、「子育てに正解などない」と言われますが、

「正解はないけど正解を求める行為は必要」なんです。

それが知的追究です。

しかも、その追究過程が楽しいものであれば最高です。持続するわけです。

子どもを観察してみてください。
何をやろうとしていますか?

どうでしょう?この言葉の意味が理解できましたか?

観察の前提にあるのは「何をやろうとしているんだろう」というマサミさんの知的好奇心です。

自分を犠牲にしているのではありません。

楽しんでいるのです。

「最高の子育てをしてやろう!」という感じですね。

そして、その時に、

「自分の強みを使う」

「自分の利益を捨てない」

「社会的意義も考える」

などというポジティブな考え方を同時にしているはずなんです。

こういうことを考えるから「楽しい」わけです。

やりがいが生まれるのです。

ちょっと難しい説明になりましたが、

これがマサミさんの「見守ってあげる」の秘密だと解釈しました。

機会があればまたご紹介しますね。

参考図書

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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5件のフィードバック

  1. 畠山文 より:

    好奇心! 変な話、責任が無いからなのか、他人の子供に対しては、面白いことするなぁと見られるのですが、自分の子供だとうまく行きません。

    なので、幼稚園の先生、ママ友、児童館の先生などが、自分の子供に好奇心を持って接してくれることに、助けられています。

    子育ては1人でしない。親は完璧じゃないから、子供にとって良い出会いがある機会を作っていけたらと、思っています。

    • 水野 正司 より:

      変な話、自分の子どもも他人の子どもも同じなんです。

      • 畠山文 より:

        そうですよね❗子供は子供ですもんね。他人の子にてまきるのなら、自分の子供にもできますね。ありがとうございます。

  2. 小松成子 より:

    今年度、担任している児童から「先生は,ぼくのことわかってない。」と、泣きながら怒りながら言われたことがあります。
    子どもを理解するって、どういうことなんだろう。
    教師を何年もやってきて,何にもわかってなかったのかな、と
    考えさせられました。

    こどもを観察してみてください。
    何をやろうとしていますか?

    児童理解の大切なポイントはここですね。

    そして,その次,どう対応するのか。
    ここが,一番の私の課題です。

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