講座454【COVID-19】感染者の体験を共有します!
私の知人がコロナに感染しました。
そして、その体験を詳細に記録しました。
でも、公表するにはリスクが伴います。
周囲の目がありますから、勇気が必要ですよね。
「言いたいけど言えない。」
きっと、そういう方がたくさんいらっしゃると思います。
でも、彼女(Yさん)は違いました。
自身の体験を公開して、「命を守ろう!」と主張されました。
今回は、そんなYさんの体験レポートをもとに、その事実を皆さんと共有したいと思います。
2.赤ちゃんが発熱!
3.Yさんの主張
4.私の感想
5.報告の続き
6.まとめ
1.事例報告は専門家の意見より上
講座143で「エビデンス・ピラミッド」の話をしましたが覚えてますか?
「専門家の意見」って案外下の方だという話をしました。
「事例報告」の方が上なんです。
今回のYさんの報告は「事例報告」にあたると考えます。
コロナの話題と言えば、私たちはすぐに「数値」に飛び付きますが、
実は、知り合いが持っている体験など、
私たちの足元にあるエピソードの中に大切な情報が含まれていることはよくあります。
権威ある人の「意見」よりも、たったひとつの「事実」の方が役立つ場合があります。
私にとってYさんの報告はまさにそれでした。
では、ここからしばらくは、Yさんからの報告を抜粋させていただきます。
(一部私の判断で加除しています)
2.赤ちゃんが発熱!
ママさんがコロナに感染したため、祖母がお子さんのお世話をしていました。
祖母もコロナ発症。
一番下の赤ちゃん(生後2ヶ月)を、私が預かることになりました。
その時点で、赤ちゃんのPCR検査をできたら良かったのですが、
保健所に動いてもらっても連休を挟んだため、検査予約は5日後しか取れませんでした。
預かった3日後、昼頃から赤ちゃん発熱。
休日のため地元保健所に電話するも、平日しか対応しておらず、休日電話番号を紹介される。
電話すると「うちでは対応できない」と、ナビダイアルを紹介される。
ナビダイアルに電話すると、消防署を紹介される。
消防署に電話をすると、かかりつけ医に電話をしてくれと言われる。
かかりつけ医に電話をすると、(救急病院だけれど)発熱外来は平日しかやっていないと言われる。
PCR検査すら、たらい回し。
20時頃にようやくPCR検査をしてくれる個人病院が他市で見つかり(神さまのような先生)私が車で連れて行く。
結果、陽性。
病院が保健所に連絡してくださり、赤ちゃんの入院を受け入れてくださることに。
私が車で連れて行く。
23時入院。(やさしい看護師さんたちここにも神さま)
赤ちゃんが入院した2日後、赤ちゃんのPCR検査をした病院で、私のPCR検査をしていただけることに。
この時点で無症状。熱もなし。超元気。
結果、陽性でした。
濃厚接触者の赤ちゃんを預かった時点で、私も保菌者という自覚のもと、ステイホームをしていました。
仕事も全て、預かった日から2週間、オンラインで出来るよう、調整し直しました。
PCR検査は、唾液だと誤診断になることがあるらしく、鼻で採取するやつが、正しく診断できるそうです。
それをやってくれたので、無症状でも確認できたそうです。
(唾液だと「陰性」になった可能性もあるとのこと
その後、保健所から連絡があり、調査票をメールで送るように指示があり、IDのようなものが割り振られました。
そのIDを使って、厚生労働省HPから、体調報告を朝・夜します。
パルスオキシメーターは、その日のうちに自宅に届きました。
私、体力には自信があります。
農家出身なので、無農薬でつくる旬野菜が主食です。
(自然食を食べて腸内環境が整っていたらコロナにかからない!と推奨される生活です)
感染対策もしていたつもりです。
唯一、思いあたるふしは、対面抱っこで寝かしつけていた時、
赤ちゃんがぐずっていたので、マスクをはずしてあやしたこと。
笑顔を見せるとすぐに笑う赤ちゃんだったので、
(私もびっくり!ご家族がどれだけ愛情を持って接しているか伝わってきました)
熱にうなされている時でも、私が笑うとニコニコしてくれました。
眠りにつく前に大きなため息のようなあくびをし、その呼気を私もタイミングよく吸い込んでしまい、
「あ。やっちまった」
と、感染を覚悟したのをはっきり覚えています。
正直、自分がかかるまで私も、コロナの感染力の強さや、症状の重さを実感できていませんでした。
毎日39度越え。最高41.5度。
全身激しい痛み。目もかすんでよく見えない。
全身、玉のように汗が出るのに寒くて仕方がない。
苦しい、苦しい、苦しい。
あ。ご安心ください。もう、症状はおさまりました。
3.Yさんの主張
(続き)
今回、赤ちゃんのPCR検査をどの病院も断られたのに、
個人病院が休日夜間に開けてくれたのは、先生がとても徳の高い方=「ラッキーだった」という話です。
命が運任せになっているのが、現状です。
「あみだくじ」と表現した人もいました。
(昨日、東京都多摩地区のとある病院は、200件の救急を断ったそうです)
そして、私が車を夜間でも走らせることができたので、
PCR検査も、入院も、スムーズに対応できました。
コロナに感染した…という詰めの甘さは猛反省していますが、
保育に慣れているので、赤ちゃんの体調変化や、救急対応に慣れているため、すぐに動けました。
普段は一緒にいない「祖父母」「親戚」が仮に
コロナに感染した保護者の子を預かったとして、対応できるかどうか疑問です。
他自治体では「保護者が発症したら祖父母・親戚が子どもを見る」という議論も見受けられるので、
「それは危険」と、声を大にして言わせてください
最後に言いたいこと
「大事な人がその先にいてるなら、帰省したらあかん!」
誰がコロナ保持者か、もはやわからん。無症状の赤ちゃんからも感染します。
「気軽に人を家に呼んだらあかん!」
家はつい気がゆるんでマスクを外しがち。
「感染マジやべぇぞ!」
噂には聞いていましたが、あっさりかかります。
「マスクをしないで子どもに話しかける大人に、子どもを近づけちゃダメ!」
私の実感ですが。ナイフを持ってウロウロしている大人に子どもを近づけるのと変わらんくらい、自ら子どもの命を差し出しています。
コロナにかかっても、医療にかかれない
後悔、先に立たずです
みんなの命が守られますように
ママさん&赤ちゃん、どちらも回復に向かっています。
私はすっかり元気です。めちゃくちゃしんどかったけどな
4.私の感想
どうですか?スゴイ貴重な報告ですよね。
情報が具体的です。生活感があります。現場が目に浮かびます。
(1) ママさんが感染 → おばあちゃんが赤ちゃんのお世話
こういうことは十分あり得ることですよね。
すると、この先どうなるかということですが、
(2)おばあちゃんも感染 → 赤ちゃんを預かる
という状況になりました。
そして次にどうなったかというと、
(3)赤ちゃんも発症 → 預かったYさんも発症
となりました。
このことをYさんは次のように表現しています。
噂には聞いていましたが、あっさりかかります。
特に、赤ちゃんからYさんに感染したと思われる場面の描写が具体的です。
その呼気を私もタイミングよく吸い込んでしまい、 感染を覚悟した 。
飛沫感染という言葉はよく言われますが、こうして報告されて初めて「こういうことか!」と納得できます。
こういう具体的な情報をもらえると、私たちはそれぞれに頭を働かせると思います。
「何も分からずいつでもどこでも100%マスクを付ける」という闇雲な行動とは別に、
「この場面ではマスクが絶対必要だな」という判断のもとに行動するという自主的な行動が生まれると思うのです。
毎日39度越え。最高41.5度。 全身激しい痛み。目もかすんでよく見えない。 全身、玉のように汗が出るのに寒くて仕方がない。 苦しい、苦しい、苦しい。
この部分も凄いですよね。
いかに苦しいかというのが伝わって来ます。
しかし、これでも、国の定義では「重症」ではないというのですから本当に怖いです。
ここで、厚生労働省の定義を確認しておきましょう。
中等症:酸素吸入をしないと危ないと判断された場合
重症:集中治療、人工呼吸器装着など命に危険がある場合
(「軽症、中等症…コロナ重症度、一般と専門家で認識にズレ」8/4(水)産経新聞)
つまり、Yさんのような場合でも「中等症」ではない(=軽症)ということになるようです。
「 毎日39度越え。最高41.5度 」 「目もかすんでよく見えない」でも軽症?
軽症でも十分怖いですね。
それともう一つ私に刺さった情報がこれです。
赤ちゃんでもうつる。
なんとなく、子どもは大丈夫なような気がしていたのですが、
赤ちゃんでも感染するということは、幼児でも小学生でも感染するということですよね。
回復は早いとしても、大人と同じように「あっさりかかります」ということでしょう。
子どもだからといってマスクをしていないケースがよく見られますが、
そこも大人の頭で考えて、適切な判断をすべきだと思いました。
さて、Yさんの報告には続きがあります。
これも大事な情報です。
どうか最後まで読んでみてください。
5.報告の続き
コロナは災害。自分が感染して初めて、その意味をかみしめています。
誰にでも起こりうる。
なのに、自分はかからないと思っている。(正常性バイアス)
体験したことないのに、自分の価値観で「こうすればいい」と判断してしまう。
流言(デマ)を信じて拡散する。
(不安からくる心理と、善意で人に伝えたい・教えてあげたいという心理からだそうです)
災害時とまったく同じです。
私は、赤ちゃんを預かったことがきっかけでしたが、
お母さま・おばあ様・赤ちゃん、そして自分。n=4でしかありませんが、コロナにかかった人の症状と、どういう対応されるか、現実に見て・体験しました。
赤ちゃんと私は、すっかりよくなりましたが、お母さまとおばあ様は、まだ入院されています。
赤ちゃんと私、お母さまとおばあ様の違いは、
発症した日に医療にかかれたことが大きいと感じています。
前の記事にも書きましたが「運がよかった」だけです。
徳の高い素晴らしい先生が、
「赤ちゃんがたらい回しにあっている」という話を保健所から聞いて、
休日夜間に、ご自身の病院をあけてくださったおかげで、
適切な治療を発症初日から受けることができました。
私の症状は、PCR検査を受けた時は無症状。
でも、その数時間後に、一気に38度まで熱があがり、全身が針で刺されているような痛みに苦しみました。
私、若かりし頃にお金がなさすぎて仕事が休めず、肺炎に何度かなったことがあります。
肺炎は「やばいな」と感じる前兆がありましたが、コロナは全然違いました。
前兆なく、いきなりMAXの症状がやってきました。
私とお付き合いのある方は、私の自然志向を知っていただいていますが、
自給自足の農家に生まれたため、子どもの頃から菌ちゃん野菜を食べ(肥でつくってた)、
風邪やケガの時は、まず薬草を与えられて育ちました。
そのため大人になってからも、熱が出ても「体の自然な反応」にまかせています。
新薬を飲まずに、熱が出るのに任せています。
しっかり寝て、身体の欲するものを食べて、汗をしっかり出せば、数日で治りますから。
その私が熱があがった時に「今回は、ヤバイ」と、本能的に感じました。
「今までのと、違う」と感じました。
身体の中の違和感が広がるスピードが、自分の体力や免疫でおさえられるスピードではない
と、確信しました。
速攻で、先生に処方された薬を飲みました。
1日目は、意識は朦朧としているし、目はよく見えないし、薬を飲んでひたすら寝ていました。
起きれませんでした。とにかく、痛い。苦しい。
2日目は、薬がどういう効き方をしているか、身体の反応がわかるようになりました。
私の場合ですが、特に『ロキソプロフェン』がなければ、最初の3日間を乗り切ることができませんでした。
普段は、ぜーーーったい手を出さない抗炎症薬です。
私の体感では「身体の中の時間を止める」でした。
発熱と痛みを止めてくれました。
ロキソプロフェンが効いている間に体力を温存し、ウイルスと戦う…という感覚でした。
発熱と痛みと戦いながら、ウイルスとも戦っていたら、負けていたかもしれません。
おかげさまで、すっかりよくなりました
そして、忘れた頃にタクシー会社から「お迎えにあがります」と連絡がありました。
あ!ホテル隔離
保健所からの連絡は初日以降なかったので、自宅療養しておけばいいと思っていました。
今回、自分がかかるまでコロナを甘く考えていました。
自粛自粛…と言い過ぎて、経済が死ぬ方が大変やん!と、思っていました。
でも、感染対策をきちんとすることと、経済のことを考えるのは別の次元の話なんだと、思い知りました。
みんなが同じゴールに向かって感染対策をしないから、自粛しないといけない、ということがわかりました。
自分が保菌者になってみて初めてわかりました。
もし私が、赤ちゃんを感染させてしまったら?
もし私が、数名に感染を広げてしまったら?
「これくらい、いいよね」と、気をゆるめた時に、誰かを感染させたかもしれません。
私が、誰かの命を奪うかもしれない…リアルに感じた時に、背筋が凍りました。
責任の取りようがありません。
デルタ株は感染力が強いのがわかっています。
今、この時期だけでも、思想や価値観の違いを主張し合うのではなく、人類共通ゴールの「コロナに勝つ」に向かって手を取り合いたいです
「私の周りにコロナにかかった人はいない」だから大丈夫!というのは、
「私の周りは事故にはあわない」と言っているのと同じような話だと思います。
わざわざコロナにかかったことを公表なんてしないし、確率の問題です。
写真は、療養ホテルに到着してからの待合室です。
全館、コロナ宿泊療養のために使われているホテルなので、コロナに感染された方の生活ゴミです。
到着した時は、「不安いっぱいで来られた方が、このゴミの前で待たされたら、もっと不安になるでしょうに…。せめて入り口くらい、清潔にしてほしい…」と、思いました。
でも事情を聞いてみると、感染症ゴミは、消毒や特殊な回収が必要らしく、どうしてもたまってしまうそうです。
その立場になってみて、初めてわかることが沢山あります。
見えないところでご尽力くださっている、いろんな方への感謝の気持ちがわいてきます。
ありがとうございます
今、コロナと戦っていらっしゃる全ての皆さまの一秒でも早いご快復を心から願っています
「自分が今、すでに保菌者かもしれない。そして、目の前の大切な人を感染させるかもしれない」
一人ひとりが意識&行動し、みんなの命が守られますように (Y)
6.まとめ
コロナに関する情報は、
子育てや教育に携わる人々に不可欠です。
100%正しい情報は無いかも知れませんが、
まったく知らないよりは、
できるだけ多くの、
できるだけ確からしい情報を、
まず大人が持ち、
必要に応じて子どもたちに教育すべきだと思います。
今回の情報もその一つにしていただけたら幸いです。
最後に、薬剤師の児島悠史さんのサイトを紹介させていただきます。
児島さんは言います。
誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい。
そうですよね。防ぐことが最重要ですよね。
そして、それは「正しい情報提供」と「教育」によって可能です。
まず、私たち大人が行動しなければならないと思います。
Yさん、貴重な報告をありがとうございました。
新型コロナのワクチン、打った方が良い?~mRNAワクチンの効果と安全性、よくある誤解(児島 悠史)