講座134 ダメな叱り方【トップ3】
「ダメな叱り方」ランキング、トップ3の発表です!
第3位 特性の無理解
ここでいう「特性」とは発達障害のことです。
本当をいうと「発達障害」も「特性」も「個性」も、
境目がないのでどれでもいいのですが、
ここでは一応「特性(発達障害)」としておきます。
特性(発達障害)は大雑把に次の4つです。
ここでは詳しい説明は省略します。
全部「のに」が付くというところに注目してください。
「~なのに…」
「勉強ができるのに変なところがある」みたいな感じですね。
杉山登志郎ドクターはこれを「発達凸凹」と呼びました。
人の能力をこんな風に分ければ、多くの人には凸凹があると思います。
その領域や程度は人さまざま。
まさしく個性です。
また、その能力を発揮できるかできないかは環境によっても変わります。
詳しいことはまた別の講座で解説します。
動画では、一つだけ例を出しました。
大事なところだけ書きます。
発達障害の説明はネット上にあふれています。
「こだわりが強い」とか、
「空気を読めない」とか、
そういう説明を聞いたことがあると思います。
でも、大事なのは説明(言葉の意味)ではなく、
その子の特性を「理解」することです。
私自身にも特性があります。
だから、その子の気持ち(脳の中で起きていること)が、
なんとなく想像できます。
嫌な気持ちに「襲われる」のです。
その「襲われる」という感覚を、
周囲の大人が理解してあげること、
それが「特性の理解」です。
そして、それを理解できずに叱ってしまうこと、
それが「特性の無理解」です。
第2位 ~のつもり
「しつけのつもり」「指導のつもり」という叱り方です。
大きくくくると「教育的虐待」と言います。
この「~のつもり」には4つの落とし穴があります。
「しつけのつもり」なので本人(親や教師)は気づきません。
良いことだと思っているので力が入ります。
良いことなので何度もくり返されます。
そして、4つ目。
子供は自分を責める
ということを忘れてはいけません。
「指導する側」と「される側」
指導される側は「自分に問題があるんだ」「自分がダメだった」
と思います。
自己有能感が育たなくなります。
もはや「指導・しつけ」とは逆の結果になるわけです。
とても怖いことなので第2位にしました。
第1位 虐待・体罰
もはや説明はいらないと思います。
改正法が令和2年の4月から施行されました。
施行はされましたが、コロナ禍の最中で、あまり取り上げられませんでした。
(1)~(5)を読むと、かなり子どもを守っていることがわかります。
「守り過ぎでは?」と感じた人もいることでしょう。
私も最初はそんな印象を持ちました。
でも、違うのです。
子どもの脳の中で起こっていることを考えたとき、
(1)~(5)はどれも大問題なのです。
ACEと呼ばれるアメリカの研究結果があります。
子ども時代の逆境体験がその後の人生にどんな影響を与えるかという研究です。
その追跡研究結果が画面のピラミッドです。
幼少期のつらい体験は子どもを不幸にする。
このことは、すでに科学的に明らかになっています。
「しつけのつもり」「指導のつもり」は、
子どもを幸せにするどころか不幸にしてしまう。
そういう側面があることを私たち大人は知っておくべきです。
法律で決まっているから、というのではなく、
子どもの脳の中で起こっていること、
これまでのデータから明らかになっていること、
そうしたことを現代の私たちは知っておかねばならないと思います。
※この講座では次の著書を参考にしました。
杉山登志郎『発達障害のいま』