講座80 子育てにおける未来予測

 目 次
1.予測は当たったか?
2.2025年の世界
3.2040年の世界
4.まとめ

1.予測は当たったか?

『せかい・30ねんたったら』(偕成社)という本の表紙です。

発行が1971年で「30年後」の未来を想像した児童書です。

子どもたちを対象に、2001年の世界を予測して見せたわけです。

すでに2001年は過ぎていますから、

私たちは、この本と今の世界を比べることができます。

ちょっと比べてみましょう。

まず表紙。

子どもがパソコンをタッチペンで操作しています。

こんなの世の中にいっぱいありますよね。タブレットとか。

日本でiPhoneが出たのは2008年です。

2008年にはもっと小型化しているわけですね。

表紙をめくると「未来の都市」が出て来ます。

地下鉄があり、自動運転の車が走っています。

自動運転の車は現在進行中ですが、現実になるのは間違いないでしょう。

歴史の上では微差です。

台所ではモニターを見ながら料理をしています。

クックパッドみたいなものですね。

リビングではテレビ電話で好きな服を注文しています。

Amazonみたいなものですね。

畑では画面でトラクターを操作しています。

ICTを使ったスマート農業ですね。

2.2025年の世界

こうしてみると、100%とまでは行きませんが、この本の未来予測は結構当たっています。

別な本で見てみましょう。

次は、リンダ・グラットンの『ワーク・シフト』という本です。

2012年発行で、2025年という13年後を予測した本です。

2025年までにはあと4年ありますが、当時の予測と現在とを比べてみましょう。

リンダ・グラットンは32の予測を書いています。

ザーッと書き出しますね。

【技術分野】

1 テクノロジーが飛躍的に発展する

2 世界の50億人がインターネットで結ばれる

3 地球上のいたるところで「クラウド」を利用できるようになる

4 生産性が向上し続ける

5 「ソーシャルな」参加が活発になる

6 知識のデジタル化が進む

7 メガ企業とミニ起業家が台頭する

8 バーチャル空間で働き「アバター」を利用することが当たり前になる

9 「人工知能アシスタント」が普及する

10 テクノロジーが人間の労働者に取って代わる

【グローバル化】

1 24時間・週7日休まないグローバルな世界が出現

2 新興国が台頭

3 中国とインドの経済が目覚ましく成長

4 倹約型イノベーションの道が開ける

5 新たな人材輩出大国が登場

6 世界中で都市化が進行する

7 バブルの形成と崩壊が繰り返される

8 世界のさまざまな地域に貧困層が出現する

【人口構成】

1 Y世代(30~45歳代)の影響力が拡大する

2 寿命が長くなる

3 ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える

4 国境を越えた移住が活発になる

【社会変化】

1 世界中で家族の規模が小さくなる

2 自分を見つめ直す人が増える

3 女性の力が強くなる

4 バランス重視の生き方を選ぶ男性が増える

5 大企業や政府に対する不信感が強まる

6 幸福感が弱まる

7 余暇時間が増える

【環境・エネルギー】

1 エネルギー価格が上昇する

2 環境上の惨事が原因で住居を追われる人が現れる

3 持続可能性を重んじる文化が形成されはじめる

現在、この本の発刊から9年経って、2021年です。

でも、もうすでにだいたい当たっているのではないでしょうか。

3.2040年の世界

最後に、今年1月12日に発行されたばかりの『2040年の未来予測』という本を紹介します。

著者は元マイクロソフト社長の成毛眞氏。

これからの世界を予測した本です。

前の2冊の予測がほぼ当たっているだけに興味深いところです。

一部分だけ紹介します。

①新しいテクノロジーが登場したとき、人間はその普及に反対する

②空飛ぶクルマも2040年には可能になる

③中国と監視カメラと個人データ

④日本の過疎化を救うのは5Gでの診療

⑤ゲノム編集技術で難病の治療に光が見える

⑥再生医療がパーキンソン病やアルツハイマー病を治すかも

⑦風力発電に向かない日本の地形

⑧国の財源は、私たちの社会保険料からまかなうしかない

⑨すべての問題は、高齢者が増えること

⑩70歳まで働くなら、今と同じ額の年金はもらえる

⑪日本のGDPはお先まっくらなのか

⑫これからの時代はテクノロジーよりも政治が株価を決める

⑬遺伝子編集した魚を食べないともうもたない

⑭マンションの価値は下がる

⑮日本では学歴の意味がなくなる

⑯貧しくなる日本にシェアリングは不可欠

⑰南海トラフ地震の際は、日本中で地震が連動して起こる可能性が高い

⑱温暖化によって戦争が起こる

⑲「水」が最も希少な資源になる

これでまだ半分くらいですが、何だか嫌な未来です。

個人的には③の「監視カメラ」が衝撃的でした。

監視カメラが最も進んでいるのが現在の中国で、

その進展は既に凄まじいです。

街の交差点には監視カメラが付いていて、

赤信号で渡った歩行者は動いた瞬間にカメラが察知して写真を撮影し、

個人データを照合して会社や警察に情報が送られる。

当然罰金を取られる。

それだけではありません。

その交差点に設置された大型モニターにその人物の顔写真が映し出されて通行中の人の目に晒される。

まだあります。

信号無視に限らず、クレジットカードに支払いからSNSでの言動までが監視され、350点~950点まで個人をスコア化しているという。

このスコアが高いと商品やサービスにポイントがつき、

スコアが低いと社会的信用が低くなる。

これを「人のスコア化」という。

人々は「スコアに影響するので悪いことは損」と考え、悪いことをしない。

ズルをしないし、無断でお店のキャンセルもしない。

馴染めばそれが「当たり前」になる。

いやー、恐ろしいですね。

私は馴染みたくはないです。

4.まとめ

今回は、以上の3冊を紹介しました。

で、

どうしてこの3冊を取り上げたかと言いますと、

子育てに「未来予測」は必要!

と思っているからです。

時期は思春期。

お父さんの出番かな。

子どもが将来を考え始める頃ですからね。

相談されるかどうかは分かりませんが、

下手な一般常識を言って失敗したら嫌じゃないですか。

「あの時、オヤジを言うことを聞いて失敗した!」

なんて言われた嫌じゃないですか。

ですから多少の知識は持っていた方がいいと思います。

できればその情報は、テレビやネットより本の方がオススメです。

テレビは「制限」が多いですし、ネットは「思いつき」の山です。

私にはそうした考えがあるので、今回の3冊を紹介しました。

子どもに未来予測を語るときのポイントは2つあります。

①示すためには「明」と「暗」の両方を知っておいた方がよい。

完璧な予測など出来ません。

大人側は、できるだけ多くの情報を知っておいた方がいいです。

②「積極的な生き方」につながる情報を語る。

暗い情報ばかり語られたら嫌ですよね。

まして思春期は傷つきやすいですから。

できれば「明るい未来」を語りたいところです。

でも、ストレートに「明るい未来」を語っても嘘くさいじゃないですか。

そこはちょっと工夫して、「積極的な生き方」を示唆するわけです。

この点では2冊目に紹介した『ワーク・シフト』の未来図が参考になります。

【第一のシフト】「ゼネラリスト」から「連続スペシャリスト」へ

明るい未来を切り開くためには、これまでの固定観念、知識、技能、固定パターン、慣習などを根本からシフトする必要があると考えている。未来の仕事の世界で成功できるかどうかは、その時代に価値を生み出せる知的資本を築けるかどうかだ。

【第二のシフト】「孤独な競争」から「協力して起こすイノベーション」へ

世界中の人々が結びつく時代の恩恵に最大限浴するためには、協力とネットワークとイノベーションについて、根本から発想をシフトする必要がある。昔は人的ネットワークが自然に形成されるのに任せておけばよかったが、今後は意識的・主体的な選択と行動が不可欠となる。

【第三のシフト】「大量消費」から「情熱を傾けられる経験」

やりがいと情熱を感じられ、前向きで充実した経験を味わえる職業生活への転換を成し遂げ、「仕事の最大の目的はお金を稼ぐこと、人生の目的はそのお金で消費すること」という発想から脱却しなくてはならない。このシフトで目指すのは、すべての時間とエネルギーを仕事に吸い取られる人生ではなく、もっとやりがいを味わえて、バランスの取れた働き方に転換することだ。

ちょっと難しい話になりましたが、

簡単に言いますと、

これからの世の中は、

自分の好きなことをやって、
かつ、
そのことに価値を見い出せる・世の中の役に立つ

ということが大切な指針になると思います。

お父さん方、頑張って勉強しておいてください。(^^)/

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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