講座593 2030年 どうなる?「日本の教育」(3)

「子育て」は次期学習指導要領でどうなるか?

 目 次
1.〈子育ての仕方〉は取り上げられるか?
2.「素案」第一部「基本的な方向性」
3.「素案」第二部「各教科等の方向性」
4.学校で「子育て」をどう学ぶことになるか
5.「総合生活実践(仮称)」とは何か
6.子育てwin3計画の「計画」はどうなるか?

1.〈子育ての仕方〉は取り上げられるか?

前回は、「乳幼児教育のこれから」について紹介しました。

今回は、「子育て教育」についてです。

子育てwin3計画の活動目標は5つあります。

ブログ記事数は、現在「593」ですから、まだまだです。

「赤ちゃん学」は、現在「7135名」です。来年達成を目指します!

そして、何と言っても、最も大きくて、最も困難な目標が「子育て教育を学校教育に組み入れること」です。

そんなコトできんのか?という感じです。

現在の学校教育では〈子育ての仕方〉を教えていません。

これは、〈昔は教える必要がなかった〉からです。

「昔」というのは、核家族一巡目世代の頃までです。

二巡目、三巡目となるにつれて、家庭の中における〈子育て〉の伝承は消えつつあります。

何しろ、〈赤ちゃんの居る環境〉が減少していますから。

あるとすれば、親の再婚によって異母妹弟の居る家庭でしょうか。

そういう家庭では〈中学生が赤ちゃんを抱っこする〉ということも珍しくありません。

でも、全体的には「家庭の中における〈子育て〉の伝承」は消えつつあります。

そこで私は、中高生を対象とした出前授業「赤ちゃん学」を始めました。

また、このブログや出版活動などを通じて、「子育て教育を学校教育に組み入れること」を主張して来ました。

これら私の活動を焦点化するならば、

高校の家庭科で〈子育ての仕方〉を扱って欲しい!

ということです。

高校への進学率は96%くらいありますから、

そうすることによって、ほとんどの国民が〈赤ちゃんにとって大切なこと〉や〈子育ての大切さ・大変さ〉を知ることになります。

電車の中で赤ちゃんが泣いたからと言って怒鳴るような人をなくしたい。

怒鳴る人が悪いのではなく、怒鳴る人は知識が欠けているだけです。

〈赤ちゃんの大切さ〉〈子育ての尊さ〉〈愛着形成の重要さ〉をすべての国民が知っている国にしたい。

そう考えて、活動しています。

「赤ちゃん学」を始めたのは2018年ですから、それから8年が経ちました。

次の学習指導要領はどうなるのか?

高校の家庭科で〈子育ての仕方〉は取り上げられるのか?

私は、そこに注目しながら「素案」を読みました。

2.「素案」第一部「基本的な方向性」

「素案」の第一部は「次期学習指導要領の基本的な方向性」です。

この中に〈子育ての仕方〉に関係することは出て来るでしょうか。

「方向性」ですから、ここには具体的なことが書かれていません。

〈子育ての仕方〉に関連する「方向」があるかどうかという視点で読むことにします。

そうしますと、

  • 自らの人生を舵取りする
  • 生涯にわたり主体的に学ぶ
  • 多様な他者と協働する
  • 自分の人生と社会との関わりを考える

といった方向性が関係することになります。

学校教育で「子育て」について学ぶのは、〈自分の将来の生活を自分で設計する力〉を身につけるためです。

これはまさに、「自らの人生を舵取りする力」と一致します。

「民主的で持続可能な社会の創り手となる力」についてはどうでしょう。

「子育て」を抜きにして社会の持続はあり得ません。

また、〈子育ての仕方〉を学ぶことは、〈子供を産む/産まない〉に関係なく、社会全体に関わることですから、「多様な他者と協働」が必要です。

もっと言えば、〈子育て〉は人類全体に関わる基礎知識です。

今、その基礎知識の伝承が消えつつあります。

民主的な国民を育てる学校教育が、その基礎知識を扱わなければ人類存続の危機になるやもしれません。

大風呂敷を広げてそう考えると、改革の大きな「方向性」と接点がないわけがない、となります。

まあ、こんな風に、無理やり当てようとすれば、ばどんな分野でも当てはまるものです。

3.「素案」第二部「各教科等の方向性」

さて、問題は高校の「家庭科」です。

1044ページを見てみましょう。

赤で印をつけてみました。

まず注目したいのは「時間軸」という視点です。

時間軸は、「一生」や「将来」「自分」という考え方と結びつきます。

中高の家庭科や保健では、これまで「赤ちゃん」や「幼児」との〈触れ合い〉を扱う授業が実施されてきました。

「触れ合い」という言葉が示す通り、その「赤ちゃん」や「幼児」は、すべて〈他人〉でした。

「自分の一生」という視点ではなく、〈乳児や幼児の発達を理解する〉という客観的な立場からの学習なのです。

しかし、今回の「素案」では、「自らの人生」という大きな指針があります。

その指針にしたがって、〈子育て〉も「自分事」として学習する方向が打ち出されています。

730ページを見てみましょう。

現行の高校「家庭基礎」の内容は「子供の生活と保育」、現行の「家庭総合」の内容は「子供との関わりと保育・福祉」です。

それらが、次回はどちらも「子供の生活と保育・子育て」となります。

つまり、

というように、新たに「子育て」という言葉が入ります。

「保育」は、他人のお子さんを相手にする理解・対応です。

「福祉」も、〈子育て支援〉という社会視点の知識・理解です。

つまり、現行の高校の家庭科では、他者視点から〈子育て〉を扱って来ました。

それが次回からは、「保育」に「子育て」という言葉が新たに加わります。

この改訂が意味するところは、

〈自分の一生を時間軸で考える〉という方向性の具体化

でしょう。

つまり、これまでは〈他人事〉だった内容に〈自分事〉視点が加わったことになります。

「子育て」と「保育」は別です。

「子育て」と「子育て支援」は別です。

「時間軸」という視点はとても重要なわけです。

そして、そこに「生活文化の継承」と「科学的知見」という視点が加わります(印をつけました)。

〈子育ての仕方〉を扱う上で、この二つの視点はとても重要です。

この二つの内容は、このブログでくり返し扱っていますし、

「赤ちゃん学」は、まさにこの二つの視点から内容を組み立てた授業です。

つまり、次期学習指導要領における高校の家庭科の内容は、「子育てwin3計画」の内容と一致しているものになっています。

4.学校で「子育て」をどう学ぶことになるか

そして、もちろん〈子育ては親だけで行うものではない〉という方向性も書かれています。

家族や地域、社会の役割でもあることは変わりありません。

そのことを一枚の画像にまとめてみました。

5.「総合生活実践(仮称)」とは何か

最後に、高校家庭科の単位の変更について見てみましょう。

高校の「家庭基礎」は選択科目ですが、約8割の生徒が選んでいます。(出典:日本学術会議健康・生活科学委員会家政学分科会(2018):生きる力の更なる充実を目指した家庭科教育への提案、7)

その単位が「2→4」に増えます。

もう一つ注目しておきたいのは、同じく選択科目である「家庭総合」の内容と位置づけです。

高校の「家庭総合」は、小中学校での「家庭科」と連動して、最終的な問題解決的な学習として位置づけられています。

その内容は「5領域」として、「福祉」「子育て」「防災」「生活文化」「環境」です。

つまり、〈子育て〉は、家庭科における「5領域」の一つと考えても間違いではありません。

そして、その「家庭総合」の中に「F 総合生活実践(仮称)」という学習が新設されました。

具体例は、次のように示されています。

「期待される姿」の解説を拡大してみます。

大事な所を抜き出してみます。

「子育てを支える地域と社会の在り方とは」について工夫しながら実践する学習を通して、
自身のライフサイクルと関連付けて、自分事として捉えつつ、
自分たちが「地域及び社会の子育てを支える主体」であることを自覚しながら、
自分は何ができるか考え、地域を支えることができる。

微妙な表現です。

ここでいう「自分事」とは、

結婚して家庭を築いて子どもを育てるという営みを選択する人ばかりではなく、

そうした人生を選択しない人のことも含めた「自分(支援者として)」です。

つまり、その両方を含めて「自身のライフサイクル」を考えようという例示です。

「多様性」の重要なキーワードですから、両者の視点を常に持っておくことが大切なわけです。

その上で、

〈結婚して家庭を築いて子どもを育てる〉ことを自分事として選択する生徒が、「科学的な根拠」と「実践的・体験的な活動」を通して、「深い学び」をすることができるわけですから、

この方針に私は大賛成です。

その「家庭総合」の単位数も「4→8(-3)」と増えることになります。

6.子育てwin3計画の「計画」はどうなるか?

ブログ記事は、私が書き続ければ「1000記事」を達成できます。

「赤ちゃん学」にはリピーターが沢山います。数年以内に「1万名」を達成できるでしょう。

そして、5番目の「子育て」を学校教育に組み入れる! は、

次期学習指導要領の「素案」に盛り込まれました。

この素案は、今後パブリックコメントを経て、文部科学大臣への最終答申が行われ、

2027年の春頃には、新しい「学習指導要領」として告示される予定です。

その「学習指導要領」に「子育て」という言葉があるかどうか!

もしあれば、目標達成です。

ちなみに、現在の高校学習指導要領には「子育て」という言葉はありません。

あるのはずべて「子育て支援」です。

そこに私は注目しています。

🍎YouTube動画での解説はこちら!
中標津ひかり幼稚園【研究】チャンネル

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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2件のフィードバック

  1. タミー より:

    私も子育てを学生のうちに誰もが学べると良いなと思います。
    金融教育、子育ての社会制度も多少関連して学べるとより深まりやリアリティが出てくるようにも思います。

  2. miz より:

    タミーさん、お久しぶりです!
    時代が動きそうです!
    文科省の方々はスゴイです!
    コメント有り難うございました!

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