講座428 知ってますか?「ファミリーサポート」
2.生後1ヵ月で赤ちゃんを預けるのは罪か?
3.ファミサポや保育所との連携
4.子育て支援の光と課題
1.ファミリーサポートとは何か
「ファミリーサポート」(通称「ファミサポ」)をご存知ですか?
利用したことはありますか?
このリーフレットがわかりやすいと思います。
「援助を受けたい人」と「援助を行いたい人」とを結びます。
「援助」の中身はいくつかありますが、中心となるサービスはこれです。
一時預かり(預かり活動)
こんな時に子どもや赤ちゃんを預かってくれます。(出典:「子育て援助活動支援事業実施要綱」)
ア 保育施設の保育開始前や保育終了後の子どもの預かり
イ 保育施設等までの送迎
ウ 放課後児童クラブ終了後の子どもの預かり
エ 学校の放課後の子どもの預かり
オ 冠婚葬祭や他の子どもの学校行事の際の子どもの預かり
カ 買い物等外出の際の子どもの預かり
知ってましたか?
買い物や外出でもいいんです。
この内容は「など」が付いているので、市町村によって多少異なるかも知れませんが、国の実施要綱ではア~カのようになっています。
私の感じでは、仕事を持っているお母さんが出勤前に赤ちゃんを預けるというケースが多いのかな?と思います。
そすると、その後に赤ちゃんの保育施設まで送迎も可能ということになります。
また、預かり施設と保育所が一体となっている建物なら、送迎なしで、そのまま保育が可能です。
便利ですよね。
今、働きに出ているお母さんが増えています。
日本は今、人口減少が加速していますから、労働力確保は重要な問題です。
その一方で、赤ちゃんの「愛着形成」も重要な課題です。
次は、このことについて少し触れておきましょう。
2.生後1ヵ月で赤ちゃんを預けるのは罪か?
早い人では生後1ヵ月でお母さんが働きに出るケースもあります。
普通なら、「それは早いんじゃない?」「赤ちゃんがかわいそう!」となるでしょう。
しかし、お母さんの側にも事情や考えがあります。
簡単には決められない難しい問題です。
そこで、世間ではこういう場合に「子育てに正解はない」と言って片付けてしまいがちです。
でも、このブログは「子育てに正解はある!」を信条としていますから私は答えを書きます。
生後1ヵ月でも愛着形成は可能です(預けることができます)。
ただし、知識が必要です。
たとえば、初産婦か経産婦かで判断は違って来ます。
初産婦の場合は出産後の不安や疲労が影響して、1ヵ月経ってようやく精神的に安定し、そこから本格的な愛着形成が始まる場合があります。
その時に赤ちゃんを預けてしまったら愛着不全に陥る可能性が出て来ます。(出典:福澤雪子・山川裕子「産後1か月間の母親の対児愛着と精神状態」2006)
また、早産や低出生体重で赤ちゃんがNICUに入院していた場合なども母子分離によって愛着形成が不十分になる可能性があります。
そうしたケースで1ヵ月目に預けてしまったら愛着不全になるリスクを負うでしょう。(出典:中尾由紀美・横山美江「母乳育児と愛着形成に関連する文献的考察」2015)
また、「望んで産んだ赤ちゃんかどうか」とか、「お腹の中にいる時に不安はなかったか」とか、「母乳育児かどうか」などの要因も判断に影響します。(出典:大村典子・光岡船子「妊娠期から生後1年までの児に対する母親の愛着とその経時的変化に影響する要因」2006)
こうしたエビデンスが既に出ていますので、
(1)預けるかどうかを判断する時に知識が必要になる
そして、最も重要なのは次のことです。
(2)その1ヵ月で十二分に愛着形成をして来たか
(3)帰宅後は意図的積極的に愛着形成をし続けることができるか
突然、生後1ヵ月で預けることを決めるのではなく、
最初から(妊娠がわかった時から)、預けることを前提に赤ちゃんに接して来たかということと、
預け終わった時に帰宅してから、その不足を補う意味でも、意図的積極的に赤ちゃんと接することができるかどうか。
以上の(1)~(3)の条件を知った上でなら1ヵ月でも可能だと思います。
世間の目など気にせず、堂々と預けていらっしゃるお母さんもいるはずです。
ですから「罪じゃない」というのが私の考えです。
むしろ堂々とあるべきだと思います。
3.ファミサポや保育所との連携
その上でもう一つ必要になるのがファミサポや保育所との連携です。
生後1ヵ月は愛着形成が本格的に始まる時期です。
お母さんが最大限に努力しても、お母さんがいない時間に愛着形成の失敗体験を重ねてしまうとストレスや不信が溜ります。
預かる側のサポーターにも愛着形成の知識やスキルが要求されます。
愛着形成の知識やスキルとは何か?
それを昨日、お話しして来ました。
この写真は私が「愛着形成の仕方」を話しているところです。
講座を受講されているのはファミサポのサポーター資格を取得しようとされている方々です。
ここで、ファミリーサポート事業の仕組みについて解説します。
これは大阪府堺市の場合ですが、子どもを預けたいという人は会員登録をした上で依頼をします。
依頼があると、サポートセンターはサポーターに預かりをお願いします。
イラストでは「提供会員」と書かれています。
これが地域の中で「預かり支援」をして下さるサポーターです。
そして、サポーターになるには研修が必要です。
こんな研修を受けるわけです。
私は昨日、「心の発達と保育者とのかかわり」という2時間の講座依頼を受けてお話しして来ました。
その内容がこれだったのです。
愛着形成の知識やスキルとは何か?
そして、このことは、赤ちゃんを預ける側と「連携」するために不可欠です。
そのことをこのブログ記事で今、お伝えしたわけです。
では、その「愛着形成の知識やスキル」とは何か?
これについては、このブログやリアル講座や「授業・赤ちゃん学」でたくさんお伝えしています。
念のために昨日使ったスライドの一枚を紹介します。
簡単に言いますと、赤ちゃんの愛着行動にどうやって対応するかというのがスキルで、
その「愛着行動とは何か」というのが知識です。
詳しく知りたい方はご依頼ください。
4.子育て支援の光と課題
昨日の講習会の中心は「若いお母さん」でした。
お子さんが幼稚園に行き始めて時間が出来たので、
その経験を活かしてサポートする側の活動をやってみたい!
そういう方々です。
驚いたのはその中に19歳の男性もいたことです。
地域の中で子どもと関わる活動がしたい!
そう話してくれました。
私はこの依頼を受けて5年目くらいになりますが、中標津町でサポーターを希望される方は、こうした「若いお母さん」や「若い男性」が多いということに感動しています。
でも、少し残念に思っているのは「ベテランの方」が少ないことです。
厚生労働省のリーフレットはこんな写真でしたよね。
こんなベテランの方々にもっと活躍してもらえたらいいなと思います。
最後に私が作成した「世代別ウェルビーイングの獲得方法」を提示して終わりとします。
私は、個々の事情があるにせよ、生後1ヶ月の赤ちゃんを預ける必要がない環境が整うといいなと思います。ただ、ずっと赤ちゃんの世話と家事に追われ状態も良くないと思うので、少しだけ育児から離れるのは悪くないと思います。
世の中の仕組みが赤ちゃんファーストになると良いなと思います。
補足ありがとうございます!
そのことにも触れるべきでした。
労働歓喜の改善も必要ですよね。
日本は世界トップレベルですが男性がそれを活用出来ずにいます。
まずはそこですね。
受講してサポーターになってくださる方、講師をしてくださる方、ありがたいです。