講座596 2030年 どうなる?「日本の教育」(5)

【自己調整学習】親に言われなくても自分で勉強ができる子の秘密

 目 次
1.「自己調整学習」って何?
2.勉強中の〝頭の中〟
3.自己調整学習とAI活用
4.自己調整学習の価値

1.「自己調整学習」って何?

先生方の間で「自己調整学習」という言葉が流行っています。

「自己調整学習」って一体何でしょう?

簡単に言いますと、子供が〈自分で能動的に取り組む学習のこと〉のことです。

もっと簡単に言いますと、

親や先生から「勉強しなさい!」と言われなくても勉強する能力のことです。

これは大事な能力ですよね。理想的です。

ぜひ、身につけて欲しい能力です。

というか、学校教育の大事な目的ですよね。

「勉強しなさい!」と言われなくても勉強する能力は〝一生モノのスキル〟です。

そう考えると「自己調整学習」って重要じゃないですか!

では、次期学習指導要領の「素案」では、この自己調整学習についてどのように書かれているのでしょうか。

449ページを見てみましょう。

〈三つの層〉が書かれています。

今回は、一番上にある「自己調整学習のサイクル」について解説します。

2.勉強中の〝頭の中〟

自己調整学習とは、〈自分で自分に問いかけながら進める学習〉とも言えます。

ジマーマンというアメリカの教育心理学者が、そのサイクル図を作成しました。

【学習前】興味、自信、意欲、好奇心など
【学習中】学習方略、メタ認知など
【学習後】振り返り

〈問い〉を発することができる子は、このサイクルを持っている子だと考えてもいいでしょう。

たとえば、算数の問題が提示された時に〝頭の中〟で、

➀【解く前】
「何を求めればいいんだろう?」
「似た問題を解いたことがあるかな?」
「どの手順から進めたらいいかな?」

②【解いている最中】
「このやり方で合っているかな?」
「確認の仕方はどうだったかな?」

③【解いた後】
「この覚え方は頭に入りやすかったから、次も使おう!」

というようなことを考えることがあると思います。

こんな感じの〝頭の中〟における学習プロセス(計画・実行・振り返り)が〈自己調整〉です。

この〈自己調整〉を分解してみると、「かな?」とか「しよう!」という〈問い〉の言葉が出てきます。

勉強というのは、このように〈自分で自分に問いかけながら進める〉という作業なのです。

自己調整学習が「能動的」と言われるのは、〈自分で自分に問いかけながら進める〉からです。

子供が、こうした〈問い〉を発せられるかどうかが〝とても重要なカギ〟になります。

つまり、「勉強しなさい!」と言っても勉強することができない子は、こうした〈問い〉を発することができない子だと考えることができます。

勉強中の〝頭の中〟というのは、とても重要な視点なのです。

3.自己調整学習とAI活用

この能力はAIを活用する場合にも重要です。

AIを活用する場合の〈問い〉は「プロンプト」と言います。

AIの使い方を大雑把に分けてみます。

実生活の中ではどちらも必要になると思います。

どうでもいいような宿題には【A】を使って〝時短〟したほうが賢いですよね。

その分、他のことに時間を使うことができます。

でも、自分で調べたいことがある場合はどうでしょう。

B①「聖徳太子はどんな国を作ろうとしたの?」と打ち込んだ場合、適切な説明はすぐに出てきますが、難しい漢字や難解な言葉があって、その意味を理解できないかもしれません。

宿題だったら〝まる写し〟で乗り切れるかもしれませんが、自分で調べたいことがあってAIを使ったわけですから、理解できなければ意味がありません。

勉強が苦手な子は、「もういいや!」と思ってあきらめるかもしれません。

でも、AIの使い方を少し習ったことがある子なら、次のように打ち込むでしょう。

B②「聖徳太子はどんな国を作ろうとしたのかを小学校6年生でも分かるように説明してください。」

こうすると、難しい漢字や難解な言葉が少なって、自分で理解できるでしょう。

まとめますと、聖徳太子は「一族の争いをやめさせて天皇を中心にまとまり、外国からも『日本はちゃんとした立派な国だ』と認められる国」を作ろうとしました。

みたいな回答をしてくれると思います。

ここで、「ふーん、そうなんだ」「争いをやめさせたんだ」と理解して終わると〝そこで終了〟です。

深く学ぶことができる子というのは、ここで終わりません。

B「本当に天皇中心の国にまとまったのですか?」と打ち込みます。

そうすると、AIはどんな回答を出すでしょうか?

結論からいうと、聖徳太子の生前にはすぐ「天皇中心の国」にはまとまりませんでした。

というような回答を出します。

さっきと全然違ってきますよね。

聖徳太子が亡くなったあとは、むしろ豪族の権力が強まって、まとまらなかったことを説明してくれると思います。

「え?じゃあなんで聖徳太子って有名なの?」

頭の中でそういう〈問い〉を持てる子が、自己調整学習のできる子です。

聖徳太子が有名なのは、成功はしなかったものの、日本で初めて「まとまりのある一つの国(中央集権国家)」をつくろうとしたからです。

ここが本質です。

しかも、ちゃんとしたシステムも用意しました。

それが「冠位十二階」「十七条の憲法」です。

このように〈システムによってまとまりのある一つの国を作ろうとした〉という行動が次の世代(中大兄皇子たち)に引き継がれていくわけです。

もっと調べると、「聖徳太子はいなかった(虚構説)」に出会うかもしれません。

あるいは、里中満智子の『天上の虹』に出会うかもしれません。

「聖徳太子」は例です。

言いたかったことを整理すると次のようになります。

B①】「自分で調べたいこと」があっても、基礎学力がなければ、調べられない、調べることをやめてしまう、AIを使う学びから遠ざかる。

B②】「自分で調べたいこと」があって、基礎学力もある場合でも、自分で自分に問いかけながら進めることができなければ、「深い学び」につながらない。AIの回答で止まってしまう。

B】「自分で調べたいこと」があって、基礎学力もあって、自分で自分に問いかけながら進めることもできる子は、「深い学び」ができるようになる。AIを利用するようになる。

これが、日常生活における「学習意欲」と「基礎学力」と「深い学び」の関係だと思います。

4.自己調整学習の価値

私は、AIの使い方を二つに分けました。

これは、誰もがそうあっていいと思います。

ただし、

もできる上での【A】だと思います。

そして、【B】ができるようになるためには、「学習意欲」と「基礎学力」と「自分で自分に問いかけながら進めること」が必要です。

これが自己調整学習の構造とその価値です。

想像してみてください。

【A】しかできない子は、これからの時代で〈リスキーな生活〉を強いられます。

そこに〝格差〟が生まれますよね。

【A】も【B】もできる子が、より多く〈安心・安全な生活〉を手に入れるのではないでしょうか。

自己調整学習の価値はここにあります。

「素案」の中には「深い学び」という言葉が沢山出てきます。

「深い学び」は、宿題を終わらせるため、SNSで「いいね」をもらうためとかなどの打算的な態度とは異なります。本質的な意味での「学び」です。

そして、「深い学び」を実装することが、次期学習指導要領の基盤なのです。

また、「民主的で持続可能な社会の創り手」という自覚によって、自己調整学習の価値はさらに高まります。

その学びは、社会的に価値ある生き方となります。

これが自己調整学習の全体構造です。

次回は、自己調整学習の二番目の層にある「方略」について解説します。

🍎YouTubeやインスタでも発信しています!
中標津ひかり&第2【発信】ページ

投げ銭をする

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です