講座496 スマホを持たせる前に読ませたい本

モバイル社会研究所の調査によりますと、小学校6年生でのスマホ所有率は65%となっています。

5年生が境目のように思えますので、《スマホデビューは小学校高学年から》というのが世の風潮とも言えそうです。

保護者にとっては不安もあるはずです。

株式会社NEXTの調査では、親の不安の第1位は「依存になること」、第2位は「犯罪に巻き込まれること」です。出典:「【500名の親御さんにアンケート】子供がスマホを利用したことにより受けた影響第1位は?子供のスマホ事情を徹底調査」株式会社NEXT(2023年3月24日)

その気持ちはわかります。

しかし、元教師の立場から私が心配しているのは全く別なことです。

今回はそのことについて解説します。

 目 次
1.小学生段階ではフェイクかどうかの見極めが未発達
2.情報読解力が身につく本

1.小学生段階ではフェイクかどうかの見極めが未発達

「モキュメンタリー」ってご存知ですか?

mock(偽物の)とdocumentary(ドキュメンタリー)の合成語で「フェイク・ドキュメンタリー」とも言われます。

実録を装った手法で作られた映像作品(ホラー作品など)が人気で、「もしかしたら本当では?」と思わせる不気味さが話題になっています。

このモキュメンタリー映像を小学生に視聴させた研究結果があります。

この研究では次のことがわかっています。出典:「小学生による生成AIが生成した写真の判断に関する実態調査」日本教育メディア学会研究会論集(2024/03)

・小学校4年生は「映像内の演技や演出」にだまされやすい。

・小学校5年生では「文化の違いや制作者や送り手の権威」によってだまされやすい。

・小学校6年生では、まじめそうなナレーションなどの「音声」によってだまされやすい。

つまり、小学生段階では、フェイクかどうかを見極める能力が未発達であるということです。

そりゃそうです。まだ小学生ですからね。

冷静に考えれば想像できることです。

しかし、世の中の情報機器はどんどん発達して、《小学生でもスマホを持つ時代》です。

大人もそうですが、もはやスマホのない生活は考えられないと思います。

保護者の中には、《だったら早く持たせて使いこなせるようにさせたい》と考える方もいることでしょう。

この考え方のポイントは「使いこなせる」です。

実は、先の研究調査では、この点についての見通しも書かれています。

繰り返し学習活動を行うことで読み取れるようになっていく可能性がある。

くり返し「学習」をすれば、小学生でもだまされないようになる可能性があるということです。

つまり、「使いこなせる」ようになるためには、「学習」が必要だということです。

2.情報読解力が身につく本

では、どんな学習が必要なのでしょうか。

学校では、1時間目は国語、2時間目は算数、3時間目は社会というように、発揮する力を時間ごとに鍛えています。しかし、そもそも現代社会では、統合的に力を発揮する必要があります。時間割のように独立した力を発揮するのではなく、いつでもスキルを総動員して考える力が求められているのです。出典:『9歳から知っておきたい情報読解力を身につける方法』(マイクロマガジン)解説者;佐藤和紀・堀田龍也

学校における「学習」は教科ごとに区切られた基礎的基本的な内容です。

その一方で、「モキュメンタリー」のような情報を読み取るための能力(「クリティカルシンキング」とも言える)は、教科を超えるような「考える力」を必要とします。

その能力を一言で表すならこうなります。

情報読解力

現代社会が小学生に求めているのは、この《情報を読み解く力》です。

看板、ポスター、ポップ、グラフ、インターネット、動画、テレビ、新聞、そして文章……。
実にたくさんのものが、何かを伝えようとしていますね。
「何かを伝えているもの」を全部まとめて、「情報」といいます(正確には、情報を伝えようとするものを「メディア」ということがあります)。
出典:『9歳から知っておきたい情報読解力を身につける方法』(マイクロマガジン)監修;谷和樹

情報読解力とは、社会にあるこうした情報をちゃんと読めて、理解する能力のことです。

元教師の立場から私が心配しているのはこれです。

「依存になること」、「犯罪に巻き込まれること」も確かに心配です。

しかし、それらを防ぐためには「情報読解力」が必要なことを忘れないでください。

情報読解力が高まることで、依存や犯罪といったマイナスの影響が減ることは間違いないでしょう。

それが元教師として私がお伝えしたいことです。

そして、子供たちに、この「情報読解力」が身につく本が出版されました。

ルビも付いていますから、高学年の子なら自分で読めます。

私は中一の孫にこの本を贈りました。

この夏休み中に読んで、情報読解力を身につけて欲しいと願ってのプレゼントです。

もしも、夏休みに読書感想文の課題があるのなら、ぜひこの本を使って取り組んで欲しいものです。

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水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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