講座410 数の経験は1歳から

お子さんに上のイラストと同じように指を出して「これいくつ?」と聞いてみてください。

瞬時に「4!」と答えられたら合格。

ちょっと迷っているようなら不合格。

指の本数を数えているようならちょっと心配です。

今回は小学校一年生の算数でつまずかないための「数の経験」のさせ方を紹介します。

 目 次
1.「数」の発達段階
2.直観から系列へ
3.生活の中に算数を

1.「数」の発達段階

数の種類は次の3つです。

①数…数える

②数字…読む・書く

③数詞…量や順序を表す

何歳頃に発達するかを見てみましょう。

モンテッソーリ教育における「数」の発達段階を見てもだいたい同じです。

でもですね。

日本の数教育にはこの前の段階があるのです。

それは1歳からすでに始まります。

「○える」という言葉が入ります。

何だかわかりますか?

きっと1歳くらいの子はやっていると思いますよ。

答えは「唱える(となえる)」です。

唱えるというのは、ただ口に出して言うだけです。

目の前に物がなくても、「イチ、ニイ、サーン…」などと言葉を口にするのが唱えるです。

呪文を唱えるとか、かけ算九九を唱えるとか、何も見ないで言うのが「唱える」です。

具体物を見て数を数えるのは3歳くらいですが、この「唱える」だともっと前から出来ます。

私の孫は、私とお散歩をする時に「イーチ、イーチ…」と唱えます。

「イチ」だけです。

「イチ、ニ」でもいいのですが、それほどテンポが速くないのでイーチ、イーチ…」です。

「一歩ずつのことなんだ」という意味はわからなくていいのです。

ただ、音で(言葉で)いうのが「唱える」です。

国語で言えば「素読(意味がわからなくてもそのまま声に出して読む)」と同じです。

これが「数の経験」の初歩になります。

このような教え方を「読み先行」と言います。

何も見ないで3まで言えるとか、10まで言えるとか、100まで言えるといった経験です。

大人は、数が言えるようになった子をたくさんほめてあげてください。

きっと何度もくり返し唱えると思います。

それが夜に眠っているうちに脳の中で保存され長期記憶となります。

3歳以上のお子さんなら「逆唱」に挑戦させてみてください。

逆唱もまた、数の概念を育てる伝統的な教育方法です。

2.直観から系列へ

1年生になっても指を使って計算する子がたまにいます。

悪いことではないのですが、止めたりしませんが、他の子と比べると計算する時間に差ができます。

そこで、どうしたら指を使わずに計算するようになるのかについて解説します。

それは「直観」を働かせることです。

「指三本」を見た瞬間に「3!」と答えられる経験が先に必要になります。

「サイコロの目」も同じですね。

遊んでいるとすぐにわかるようになりますよね。

それと同じで、様々な数の集まりを見て、瞬間的に答える経験をたくさん積んでおくことが必要になります。

タイルは1つずつ並べていくと「6」の時に「1と5」になって「6!」ってわかりますよね。

これも経験です。

モンテッソーリ教育ではちょっと変わった並べ方で「3」や「5」を表します(上の赤い磁石)。

そろばんの珠も瞬間的に数がわかるようになっています。

これらはすべて直観です。

直観で数が言えるようになったのちに、数えやすいように自分で並べてみたり、「5のかたまり」の便利さに気づいたりして系列を見つけ出します。

そのあとで「数字」が結びつき、《数→数字→数詞》の階段を上って行けるようになると思います。

直観というのはとても大切です。

このピンク色の●を見て、どこに、いくつの●を移せば「10のかたまり」ができるかを瞬時に判断するのも直観です。

そのためには、こんな風に10を囲うための点線が頭の中にイメージできなければなりません。

見えないものをイメージするというのは行動が思考です。

このような直観も豊富な経験によって少しずつできるようになります。

3.生活の中に算数を

そう考えると幼児期の経験というのはとても大切だということに気づきます。

これはある幼稚園の虫取り網立てです。

穴が10個空いています。

これは保育士さんが小学校への接続を考えてわざと「10」にしてあるわけです。

5の所で赤い線を入れてあげるともっといいかも知れませんね。

これは4歳の女の子のお絵描きです。

すごいですね。

ちゃんと指を書いて、その上に数字を対応させています。

発達段階に即したお絵描きのお手本です。

こんな風に、算数に関することは日常生活の中にたくさんあります。

今からでも遅くはありません。

生活の中に取り入れてみてください。

ただし、あくまでも「遊び」として、「強制」はしないのが鉄則です。

遊びや活動の中で《数唱》《数》《数字》が混ざり合って行き来します。

その経験が基礎となって、小学校の算数で習う「何番目」などの《数詞》が理解できるようになるわけです。

投げ銭する!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

おすすめ

2件のフィードバック

  1. タミー より:

    唱えるになるほどと思いました!
    3歳の娘は、たまたま数字が書けると喜ぶようになりました。
    逆唱も、お風呂でやってみようと思います。

  2. みやまゆ より:

    逆唱が3歳からできるのに驚きでした。生活の中で数字を唱える遊びをたくさんやりたいと思いました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です