講座401 スマホと子育てをwin-win-winにしよう!
講座399「『スマホ育児』と『スマホネグレクト』の実態」の続きです。
前回は東京大学の論文「育児と ICT―乳幼児のスマホ依存、育児中のデジタル機器利用」から24の実態を抜き出しました。
ザっと見てください。
【スマホ育児の実態】
【1】1歳以上の6~7割が「スマホ育児」をしている。
【2】ほとんどがYouTube
【3】「子守り代わり・静かにさせるため」という消極的な期待
「勉強になる(情報教育や英語教育)」という積極的な期待
【4】スマホを与える場面
(1)なだめるため(約40~70%)
(2)静かにすごさせるため(約40~60%)
(3)自分が食事するため(約10%)
(4)公共の場で静かにさせるため(約30~60%)
(5)自分が家事をする時(約50%)
(6)寝かしつけの時(約10%)
【5】①年収1000万円以上の家庭ではスマホを与えることが少ない
②年収1000万円以上の家庭では「触らせていいない」が多い
【6】多くの親は「悪影響」を心配しながら使わせている
【7】4~5割近くの乳幼児がスマホに依存傾向を示す
【8】「スマホ育児をしている母親」は「スマホ育児をしていない母親」よりストレスが高い
【9】子どもに対してストレスを感じている母親が「スマホ育児」をする傾向にある
①「うちの子は手がかかる」
②「うちの子は離れない」
③「うちの子は喜ばない」
【10】自分に対してストレスを感じている母親が「スマホ育児」をする傾向にある
①「やりたいことがほとんど出来ない」
②「まわりの人がサポートしてくれない」
③「以前のように物事を楽しめない」
【11】乳幼児の依存傾向度は母親の依存傾向度に相関する
【スマホネグレクトの実態】
【12】約7割の母親が授乳中にスマホを見ている(0歳児)
【13】約4~5割の母親が「電車やバスなど公共の場」でスマホを見ている
【14】約6割の母親が自宅で子どもが遊んでいる時ににスマホを見ている
【15】食事中にスマホを取り出して見てしまう母親は約6割
【16】子どもと顔を合わせている時にも送信してしまう母親は約6割
【17】子どもと話している時に通知が来たら確認してしまう母親は約7割
【18】子どもを遊ばせている時に操作で注意が散漫になってしまう母親は約7割
【19】操作中に子どもが怪我をしてしまいそうになったことがある母親は約2割
【20】PSDは子どもが1歳を過ぎた時に増加している
【21】子どもの前でLINEやSNSを使うことにためらいがある母親は約5割
【22】子どもの目の前でスマホを使うことに罪悪感を感じる母親は約6割
【23】年収が低い家庭の母親ほど「ためらい」や「罪悪感」を感じる割合は低く、年収が高い家庭の母親ほど「ためらい」や「罪悪感」を感じる割合が高い
【24】学歴が低い母親ほど「ためらい」や「罪悪感」を感じる割合は低く、年収が高い母親ほど「ためらい」や「罪悪感」を感じる割合が高い
今回はこの実態をもとにして、できるだけシンプルに、現実的で、
親も子も世の中もwin-win-winになる方法を提示しようと思います。
2.スマホを見る時はこうする!
3.子育て格差をなくす!
1.「スマホ育児」はこうする!
【1】~【3】について考えましょう。
【スマホ育児の実態】
【1】1歳以上の6~7割が「スマホ育児」をしている。
【2】ほとんどがYouTube
【3】「子守り代わり・静かにさせるため」という消極的な期待
「勉強になる(情報教育や英語教育)」という積極的な期待
簡単に言えば、
6~7割の母親が1歳を過ぎたらYouTubeを見せている
という実態です。
それが「アンパンマン」などの幼児向けの番組だったとしましょう。
これはいいことなのか?悪いことなのか?
【6】多くの親は「悪影響」を心配しながら使わせている
心配しながら使うのは問題ですからはっきりさせましょう。
悪影響はあります。
【悪影響】
①近距離でのブルーライト被爆→メラトニンの分泌が乱れて夜眠れなくなる
②目の筋肉(毛様体筋)が緊張し続ける→目が疲れる
③視力は3歳までに急速に発達し6歳頃までに完成する→視力の発達が遅れる
使わせないのが一番いいのですが、
「1歳を過ぎたらYouTubeを見せている」という親は多いので、見せるなら次の工夫をしましょう。
【専門家のアドバイス】
①1歳を過ぎたら毎日30分以上の外遊びやお散歩をする
②スマホを見せる時間は30分以内にする(30分でお料理しちゃう!)
③なるべく日没後は見せない。寝る前は絶対ダメ。
外遊びをするとお日様を浴びますからホルモンバランスが整いますし、疲れて夜に眠りやすくなります。
これには浜松医科大の研究結果も出ています。(「『外遊びが幼児期のデジタル視聴による神経発達への影響を弱める』可能性を世界で初めて明らかに」)
私の孫は1歳2か月ですが母親はスマホを与えていません。
見ていると、料理などをするときは「おもちゃ」や「絵本」を与えていますね。
でも、大人がスマホを触っていると、やっぱりスマホに興味を示します。
そこで、孫にはスマホ型のおもちゃを与えました。
これです。
これは大好きですね。親が使っているのが手帳型のスマホなのでスマホ感があるんです。
ブルーライトも出ませんし、クイズもあるので笑えます。
そして、孫はほぼ毎日外に出て近所のおばさんたちとガーデニングをしているので夜はぐっすりです。
こんな風に必要なのは「工夫」ですね。
(1)悪影響を知る
(2)専門家のアドバイスを知る
(3)その上で自分のやれることをやる
そして見つけた自分のやり方が「正解」だと思います。
2.スマホを見る時はこうする!
次は「スマホネグレクト」について考えてみましょう。
見てしまう母親が多いのが実態です。
【スマホネグレクトの実態】
【12】約7割の母親が授乳中にスマホを見ている(0歳児)
【13】約4~5割の母親が「電車やバスなど公共の場」でスマホを見ている
【14】約6割の母親が自宅で子どもが遊んでいる時ににスマホを見ている
【15】食事中にスマホを取り出して見てしまう母親は約6割
【16】子どもと顔を合わせている時にも送信してしまう母親は約6割
【17】子どもと話している時に通知が来たら確認してしまう母親は約7割
【18】子どもを遊ばせている時に操作で注意が散漫になってしまう母親は約7割
これはもう「見るな!」と言うのが無理ですね。
ですからどんな時に見て、どんな時に見ないかというメリハリをつけることが大切でしょう。
「スマホ育児」と同じで、
(1)悪影響を知る
(2)専門家のアドバイスを知る
(3)その上で自分のやれることをやる
ということです。
では確認しましょう。
まず、悪影響です。
0歳の赤ちゃんを死なせるためには刃物も毒薬も要りません。
「無視」をすれば1歳になる前に死亡します。
これは800年前におこなわれたフリードリヒ2世の実験などいくつかの事例で明らかになっています。
無事に1歳を迎えたとしても、1歳以降も無視され続けると正常に発達することはできないでしょう。
赤ちゃん~思春期の子どもまでも含めて、
子どもが最も必要としているのは「関心」です。
親は自分に関心があるのか ―――と子どもは思います。
「愛情」とか「優しさ」とか、そういう美しい言葉もありますが、
もっとシンプルに言えば「関心」なのです。
そういう視点で【12】~【17】を見てください。
【スマホネグレクトの実態】
【12】約7割の母親が授乳中にスマホを見ている(0歳児)
【13】約4~5割の母親が「電車やバスなど公共の場」でスマホを見ている
【14】約6割の母親が自宅で子どもが遊んでいる時ににスマホを見ている
【15】食事中にスマホを取り出して見てしまう母親は約6割
【16】子どもと顔を合わせている時にも送信してしまう母親は約6割
【17】子どもと話している時に通知が来たら確認してしまう母親は約7割
「スマホネグレクト」はメディアの造語です。
本当のネグレクト(虐待)とは違います。
授乳中にスマホを見ることは虐待にはなりませんよね。
でも、子どもにも赤ちゃんにも「関心」は必要です。
私はこの1年2ヵ月間、孫の遊び相手をしながら観察を続けて来ましたが、
その結果、乳幼児が必ずする「ある行動」を発見しました。
それは「振り向き」です。
ひとりで遊んでいる時に、突然、何の前触れもなく、振り向くのです。
振り向くとすぐにまた自分の遊びを続けます。
時間にして、ほんの0.5秒くらいでしょう。
これは明らかに「確認行動」です。
信頼できる人(安全基地)がそばにいるかどうかを確認しているわけです。
遊んでいる途中で振り向くのは「確認(見る)」という赤ちゃんの能力を使った行為です。
自分の能力を使う行為には「失敗」と「成功」があります。
確認した結果、私が見てくれていたなら成功、私が他の方を見ていたら無視されたことになり確認は失敗です。
赤ちゃんも幼児も、こうやって愛着形成をしているわけです。
つまり、親がスマホを使っている時のリスクは、子どもが確認行動をした時に見てあげることが難しいということです。
【悪影響】
①子どもの「振り向き」に対応するのが難しい(愛着形成不全になる)
愛着形成の不全が進むと愛着障害や発達障害の出現率が高まります。
愛着障害や発達障害という時の「障害」は「disorder(機能障害)」です。
機能がうまく働かなくなる可能性は誰にでも起こり得ます。
こういう知識を持った上でスマホを使うことが大切です。
【専門家のアドバイス】
①子どもの「振り向き」に対応できるようにスマホを使う
・授乳中に赤ちゃんがこっちを見そうだったら、その前にスマホをやめる。
・電車やバスなどで子どもがこっちを見そうになったら、その前にスマホをやめる。
・自宅で我が子が遊んでいる時にこっちを見そうになったら、その前にスマホをやめる。
・子どもが食事をしている時にこっちを見そうになったら、その前にスマホをやめる。
・子どもと顔を合わせている時には送信しない。
・子どもと話をしている時には着信が来たら見ないか子どもに断ってから見る。
これらは「アドバイス」です。
これらのアドバイスを知った上で、やれることをやればいいのです。
やれる人は実行するといいでしょう。
やれない人はできる範囲で意識すればいいでしょう。
自分なりの工夫をすることもできます。
電車がそろそろスカイツリーの見える所を通過するから、こっちを見るんじゃないかとか予測することもできますよね。
ひとりで遊んでいる時は見られる前にこっちから先に声をかけて「お母さん見てるよ~」と意識させることもできます(そうすれば子どもから確認する回数が減ります)。
そういった工夫も「やれること」に入ります。
(1)悪影響を知る
(2)専門家のアドバイスを知る
(3)その上で自分のやれることをやる
この原則は「スマホ育児」の時と同じです。
スマホは便利なツールですから積極的に使いこなしていくことが大切です。
その「使いこなす」の中に「悪影響を知る」と「専門家のアドバイスを知る」も入っているわけです。
人間がAIに使われるようになったらおしまいです。
それと同じで、スマホに使われるのではなく、スマホを使いこなす人になりましょう!
ただ、一つだけ補足しておきますが、赤ちゃんの脳は「意識」よりも「無意識」が発達しています。
見えないものが見えたりします。
授乳中に目を閉じていても、母親がこちらを見ているかどうかを感じることはできるはずです。
全盲の人は視覚以外の感覚器官が鋭敏になっています。
まるで超能力のように感じとることができます。
赤ちゃんも同じです。
感じる力が鋭くなっています。
これも知識ですから、それを知った上で、その場、その時に、自分の、「やれることをやる」というスタンスが大切です。
赤ちゃんも大事ですが、自分も大事です。
母親が不安を持ちながらスマホを使うのもよくありません。
いつも自分の選択が「正解」だと思って行動するのがストレスフリーです。
3.子育て格差をなくす!
その他の【実態】について私の考えをザっと書いて終わります。
【5】①年収1000万円以上の家庭ではスマホを与えることが少ない
②年収1000万円以上の家庭では「触らせていいない」が多い
これはお金持ちの人に知識があるからです。
親自身もスマホをあまり使わないなど、縛られない生活をしています。
悪影響を知っているだけではなく、そのエビデンス(科学的根拠)を尊重する態度も高いのだと思います。
【5】は、つまり「知の格差」です。
格差は是正すべきです。
年収1000万円未満の親にも「子育ての仕方」を公的機関が教えるべきです。
それが「公正」です。
できれば親になる前のすべての国民に教えるべきでしょう。
そうすれば後から「台」を持ち出して支援する必要もありません。
【10】自分に対してストレスを感じている母親が「スマホ育児」をする傾向にある
①「やりたいことがほとんど出来ない」
②「まわりの人がサポートしてくれない」
③「以前のように物事を楽しめない」
母親へのサポートが必要です。
家事代行や託児などのサービスなどが無料で受けられるような支援です。
今の日本にはそうした支援が圧倒的に不足しています。
私は地元で「託児付き・整体サービス事業」を展開していますが、アンケートで「とても有り難かった」は100%です。
「有り難かった」ということは、そういうサービスがないということです。
支援の仕方を考えるべきでしょう。
【20】PSDは子どもが1歳を過ぎた時に増加している
PSD(Parent screen distraction)とは「スマホによる気晴らし」という概念です。
「スマホネグレクト」よりも軽い意味です。
つまり、軽い気持ちでスマホを触る親が1歳を過ぎた時に増加しているということです。
これはいいことだと私は思います。
逆に言えば、「子どもが1歳になるまでは触らないようにしている母親が多い」ということです。
1歳になるまで、つまり赤ちゃんの関心は「母親」です。
①お母さんを探す。見る。においを嗅ぐ。肌で癒される。←確認行動(定位行動)
②泣いて呼ぶ。声を出して話しかける。ほほえんでみせる。←発信行動
③ハイハイして追いかける。手をのばして抱っこを求める。←接近行動
1歳までの間に、赤ちゃんのこうした行動に対し、成功させてあげる。
これができていれば、「スマホによる気晴らし」はあっていいと思います。
しかも、調査では「1歳を過ぎた時に増加している」ということですので、多くの母親が愛着形成を意識しているのだと思います。
私の役目は、それを意識せずにやっている方々に対して、
「それ、愛着形成ですよ!」と伝えてあげることだと思っています。
または、1歳になっていないのに「無視」をしている親に「赤ちゃんは見てますよ!」と教えることだと思っています。
そうすれば、もっと子育てに自信を持って、意図的・計画的・積極的に、生活の質を高めることができると思うのです。
以上が、東京大学の論文「育児と ICT―乳幼児のスマホ依存、育児中のデジタル機器利用」に対する私の考えです。
関心はあまり意識していなく、できていなかったのではと反省しきりです。授乳は専らスマホに限らず、ながら授乳でした。育児家事休憩時間という感じでした。
子供に、おっぱい飲んでいる時、お母さんは見てくれていた?と聞いたら、見ていたよ!赤ちゃんのとき泣いたらお母さん来た?と聞いたら、嬉しそうに、うん、来たよ!と答えてくれました。
見る見つめ合うの量だけじゃなく、質も大事なのかな?と感じました。でも、質って何なんでしょう?お母さんは見てくれない時もあるけど、自分に関心を持っているって子供が感じることができたらいいのかな?とか、、、
よく考えたら、子どもが昼寝してる時が1番スマホを見てますね。
授乳中もけっこう見てました。見れる時がそこしかなかったので…
料理中に子どもが飽きて来たら台所の引き出しを開けて、引き出しの中の食品とか調理道具で遊ばせてます。これはけっこうオススメです。(危ないものは事前に撤去)
熱のこもったブログから、熱いメッセージを受け取りました!
できる範囲でがんばります!