講座270 母子保健事業は「切れ目」だらけ!

孫が生後一か月を過ぎた時に小児科に付いて行きました。

乳児の一か月健診です。

私はふと思いました。

「これってお金かかるのかな?」

「義務なのかな?」

「誰がやってるんだろ?」

知らないことだらけでした。

今回は母子支援事業について考えます。

 目 次
1.知ってました?「健やか親子21」
2.「切れ目」って何?
3.子育ての知識は切れている

1.知ってました?「健やか親子21」

乳幼児やそのお母さんをケアする仕組みを「母子保健事業」と言います。

現在の日本の母子保健事業を代表する取り組みをご存知ですか?

「健やか親子21」って言うんです。

聞いたことありますか?

私は知りませんでした。

こういうポスターがあるんです。

HPを見てみましたが中身が薄くてビックリしました。

国がお金をかけてやっている割に私の個人ブログより薄いんですよ。

唯一、知られているのは「マタニティマーク」ではないでしょうか?

これなら見たことがあるんじゃないでしょうか。

「妊産婦に優しくしましょう!」というマークですね。

これが「健やか親子21」という取り組みのほんの一部なんです。

「ほんの一部」ということは、もっと他にも重要なことがあるということです。

それはこれです。

【重点課題1】育てにくさを感じる親に寄り添う支援

【重点課題2】妊娠期からの児童虐待防止対策

皆さんどうですか?

これ、達成できてると思いますか?

「育てにくさ」というのは環境のことです。

私は昨夜もこんなツイートを見ましたよ。

「産褥期に日中一人ってキツいかな?」

私は思わず「キツイです!」って答えちゃいました。

絶対キツイです。

赤ちゃんってしゃべれないですよね。

産褥期なんて、泣くか、眠っているかだけです。

母親の相手が誰もいません。

何も悪いことをしていないのに涙が流れることだってあります。

それって「環境」じゃないですか。

そういう子育て環境が当たり前の社会になっているということです。

これって「育てにくさ」じゃないですか?

国や自治体は、なんとか工夫して支援してくださいよ!

それが重点課題1の「親に寄り添う支援」じゃないですか?

重点課題2の「妊娠期からの児童虐待防止対策」なんて言わずもがなですよね。

今朝もこんなニュースがありました。

0歳男児の死因は圧迫による肝破裂…双子で母親と3人暮らし、市「虐待の兆候なかった」(Yahoo!ニュース)

母親「気づいたらぐったり」 体に複数のあざ7か月男児が“肝臓破裂”で死亡(RKB毎日放送)

これは今朝見ただけのニュースです。

虐待報道は日常茶飯事ですよね。

虐待件数は毎年更新されるので覚えていられないくらい増えています。

ま、こういう問題があるから「重点課題」なのでしょうけど、

計画が制定されたのは平成27年度(2015年度)です。

達成させるのが平成36年度(2024年度)ですから残り2年です。

あと2年で出来るのでしょうか?

「ホームページ全体をリニューアルいたしました(2022年2月14日)」なんて言ってる場合じゃないと思います。

2.「切れ目」って何?

この「健やか親子21」には重点課題のほかに「基盤課題」といのがあります。

【基盤課題1】切れ目のない妊産婦・乳幼児への保健対策

【基盤課題2】学童期・思春期から青年期に向けた保健対策

【基盤課題3】子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり

出ました!「切れ目のない妊産婦・乳幼児への保健対策」です。

これがどうなっているのか見てみましょう。

厚生労働省は令和2年度の「母子保健事業の実施状況等調査」の調査結果を公表しています。

2週間児健診:2.6%
1~2か月児健診:32.1%
3~5か月児健診:99.0%
6~8か月児健診:47.7%
9~12か月児健診:80.5%
1歳半健診:93.3%(法定健診)
3歳児健診:94.4%(法定健診)

※乳児家庭全戸訪問事業(生後4か月までの乳児):97.7%(法定事業)

「3~5か月児健診」というのはいわゆる「4か月健診」です。

これはすごい数値です。

これは法的健診ではないのに99%の実施率です。

自治体や関連機関が一体となって取り組んだ成果だと思います。

その他の細かい健診はそれぞれの自治体の工夫というか特色があっていいのだと思います。

「切れ目」にも限度がありますからね。

でも、重要なのはそこではないのです。

本当の意味での「切れ目」というのは、母親になった直後だと思うんです。

出産には喜びがあって当然でしょう。

しかし、それと同時に不安もあるはずです。

出産から一日、二日、三日と経つうちに、

理由もなく不安に襲われることがあると思うのです。

急に自分が社会と切り離されているような気持になったりしたことはありませんか?

それを「産後ウツ」などという言葉で片付けるのではなく、

無くす、減らす支援が必要だと思うのです。

何ヵ月目という「切れ目」ではなく、心の切れ目です。

そこをケアする工夫がもっと必要だと思います。

生後4か月までの乳児の家庭を訪問する「乳児家庭全戸訪問事業」もありますが、

それでは「遅い」というのが私の実感です。

育児の不安はその前にやって来るのです。

そして、学校教育では「赤ちゃんの育て方」は習いません。

この図を見てもわかるように産前のケアが薄いのです。

私は教員だったので経験しているのですが、

教員養成大学で教員免許を取って卒業しても「授業の仕方」を知らないまま4月から子どもたちの前に立たなければならない実態と似ています。

3.子育ての知識は切れている

具体的に考えましょう。

「デンバーⅡ発達判定法」という発達検査があります。

この検査には発達の指標(マイルストン)が定められています。

これを見れば、

「0か月で顔を見つめるのか!」とか、

「3ヵ月で声を出して笑うようになるのか!」という

見通し」を持つことができますよね。

たったこれだけのことでも不安や孤独を減らす効果はあると思うのです。

「いやいや。そんなの母子手帳に書いているでしょ」とか、

「保健センターに来てくれれば相談に応じますよ」などといった支援ではなく、

すべての人に切れ目なく教えるべきだと思うのです。

だから私は出前授業で「赤ちゃん学」をやっています。

このブログで「子育ての仕方」を発信しています。

誰もが「知識を共有している」という状態こそ最強のセーフティーネットです。

これからも思いを新たにして情報発信を続けていきます。

この記事に投げ銭!

水野 正司

子育て応援クリエイター:「人によし!」「自分によし!」「世の中によし!」の【win-win-win】になる活動を創造しています。

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5件のフィードバック

  1. タミー より:

    産後1ヶ月、首が座るまでほど遠い気がしていました。
    それぞれのお母さんがしてほしいサポートを選んだりできる等、柔軟なサポートがあるとより良いように思いました。

    • 水野 正司 より:

      「首が座るまでほど遠い気が」
      首がすわるのは大きな安心ですよね。
      でも、個人差が大きいので漠然としたゴール。
      いろんなサポート環境を考えるぞ!

  2. つむちゃんのお母さん より:

    出産0日目から、すでにヘトヘトです。こんなに寝ないの!?と言うくらい母乳、母乳、母乳……。出ないから寝ない。でも泣くからあげないと……の繰り返し。
    理想と現実の違いにショックをうけました。
    すごく嬉しかったのは、息子を産んだ産院でアロママッサージがあったことです。1時間ほど赤ちゃんを預かってくれて、心も体も休めました。

    産後ホテルが近くにあったらなぁと思いました。あのホテル、産褥期に1人で頑張らなきゃいけないお母さん達の天国だと思います。産後ホテルの無料券が配られて欲しいです。

    • 水野 正司 より:

      「産後ホテル」
      知らなかった!
      これ、広まって欲しい!
      参院選に向けて訴えよう!

  1. 2023年4月30日

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