講座260 愛着障害・愛着不全について①
広い意味での愛着障害の子の割合は3人に1人と言われています。(岡田尊司著『愛着障害』)
その原因の7~8割が養育環境です。(前掲著)
今、学校現場では、愛着障害の子が様々な問題を引き起こしています。
一体、この「愛着障害」とはどんな障害なのでしょうか?
2.学校現場では
3.次回予告
1.どんな特徴の子?
私は愛着障害の子の特徴を5つにまとめました。
(1)攻撃・パニック:暴力的
(2)フリーズ:固まる
(3)無気力:あきらめてしまっている
(4)自虐:自分を責める
(5)ベタベタ:愛情不足
5種類に分けましたが、こうした特徴が組み合わされている子もいます。
次はもう少し具体的に表現してみます。
➀落ち着かない
②高い所に上る
③物を投げる
④非を認めない
⑤ごまかす
⑥痛がらない
⑦わざと物を壊す
⑧靴を脱ぎたがる
⑨すぐ暴力を奮う
⑩全否定的
⑪自己防衛的
⑫助けを求められない
⑬注目されたい
⑭努力が積み上がりにくい
⑮その気になりにくい
⑯感情表現が苦手
⑰不安傾向が強い
こうした特徴のいくつかが組み合わさっています。
これらを大きく分けたのが(1)~(5)です。
どうですか?
愛着障害の子の姿がイメージできましたか?
わかるような…
わからないような…
きっとそんな感じですよね。
今は「そんな感じ」でいいと思います。
でも、一応、これらの特徴をまとめておきますね。
(1)~(5)の特徴、①~⑰の特徴をひとことで表すとこうなります。
傷つきやすい子
(1)~(5)の特徴、①~⑰の特徴には、すべて理由があります。
そのすべてに共通するのが「傷つきやすい」ということです。
攻撃的になるのは自分を守るためです。パニックになるのもそうです。
フリーズをするのも自分を守るためです。
無気力は、既に傷つき、あきらめてしまった子の姿です。
自虐はその反動です。自分で自分を傷つけるようになってしまったのです。
ベタベタ甘えて来るのはまだいい方です。傷を癒そうとしている子です。
2.学校現場では
愛着障害を持った子は学校でどんな風になるのでしょうか?
話を分かりやすくするために架空の事例を作ります。
小学校6年生のA子さんということにしましょう。
A子さんは授業中によく教室から飛び出します。
大声を出しながら飛び出すこともあります。
手のかかる子なので低学年の途中から特別支援学級に在籍しました。
国語と算数以外はみんなと一緒に授業を受けていますが支援の先生が教室に付いています。
支援の先生はA子さんの勉強を助けようとします。
するとA子さんは「あっちへ行け!寄ってくんな!」と怒鳴ります。
クラスの子が助けようとすると、「お前もくんな!ウザい!」と怒ります。
ノートに何か書くことはほとんどありません。
おとなしく授業を受けている時はフードをかぶって突っ伏しています。
こんな感じです。
女の子の設定にしたのであまり暴力的ではありませんでしたが、
男の子だったら、教室を出る時に机の上の物を投げ散らかしたり、机を倒したりして出て行くかも知れません。
隣の子が助けようと声をかけたら殴っていたかも知れません。
そんな感じです。
これで少しはイメージできたのではないでしょうか。
ここでもう一度、先程の特徴とキーワードを思い出してください。
(1)攻撃・パニック
(2)フリーズ
(3)無気力
(4)自虐
(5)ベタベタ
A子さんのような子は、
リストカットをする危険性があります。
自虐と愛情を求める行為が重なって援助交際に走る危険性もあります。
(1)~(5)はタイプ(型)ではなく、表れ方です。
時と場によって表れ方は変わります。
ですから複合的です。
そして、すべてに共通している特徴が、
傷つきやすい
ということです。
3.次回予告
次回は、こうした愛着障害を抱える子への改善方法について解説します。
講座261 愛着障害・愛着不全について②
愛着障害は、かなり私の身近にあると思います。そして多少みんなあるようにも思います。どういった型で表れるか、それぞれ違うのですね。教えてくださりありがとうございます。
3分の1だから身近ですよね。3人に1人!
そうそう、「型」であって「型」ではないのです。
表れ方です。
根っこはただ一つなんです。
今までであった子どもたちを具体的に思い浮かべながら拝読しました。
「傷つきやすい」という言葉が、とても分かりやすいなぁと思いました。
「時と場によって表れ方がかわる」ことも、すごく納得しました。
私が出会ってきた子どもたちは、
失敗しそうなだなと本人が感じた時や、
失敗したと本人が思った時に、
顕著に表れていた気がします。
「傷つきやすさ」からくる行動なんだなと捉えることで、これからは少し冷静に対応できる気がします。
コメントありがとうございます。
きっと私とみほさんとは同じような経験をしているのかな。
私のキーワードは私の実感なんです。
「これだ!」と思って学び直しました。