講座247 生活習慣形成の基本原則
【問題】トイレ・トレーニングを始めました。おむつをやめてパンツにしましたが、遊ぶのに夢中でパンツを何度も汚してしまいます。この時、お母さんは子どもにどんな言葉をかけたらよいでしょう。
次の中から選んでください。
①「何回汚したら気がすむの!」
②「今度パンツを汚したら、怖い鬼が来るよ!」
③「おしっこはトイレでするんだよ。次はできるようになろうね!」
1.叱る側の論理
①は、子どもが出来ないことに腹を立てて感情的になってしまったパターンです。
「叱られるのが嫌なら失敗するな」という論理です。
感情的になっているので、この論理のことは忘れています。
しかし、冷静に分析すれば「叱られるのが嫌なら失敗するな」なのです。
だから、叱るのです。
そして、もっと冷静に考えると、この論理は破綻していることに気づきます。
子どもは「まだうまく出来ない状態」です。
出来るのだったら叱られたくないので汚さないようになるはずです。
それが出来ないから繰り返すのです。
ですから、恐怖心から脳の偏桃体が委縮してしまうはずです。
失敗を隠すような子に育ってしまいます。
また、人の失敗にはこのように叱るのだということを学習してしまいます。
いいことは何もありません。
2.脅しの原則
②は、「鬼」という架空の存在を使った脅しですね。
こういうのは昔からよくありますよね。
「雷が鳴ったらおへそを取られる」とか、
「親の言うことを聞かなかったらナマハゲが来るとか」
こういった「脅し」には原則があります。
【脅しの原則】
(1)少し気を付ければ出来ること(歯磨きを嫌がらないなど)に使う
(2)やってはいけないこと(火遊びなど)に使う
(3)出来ないことに対しては使わない
トイレはまだうまく出来ないわけですから、脅しはタブーです。
これも恐怖心が植えつけられるだけです。
8歳以下の子は現実世界と空想世界の区別がグレーです。
こういった「脅し」は大人が思う以上に恐怖心を植え付ける場合があります。
よっぽどダメな事以外は使わない方がいいと思います。
3.母親の実感
ここからは実際にトイレトレーニングを経験したお母さんに語っていただきましょう。
我が家のトイレ・トレーニングもそうでした。
親がトイレの声かけのタイミングを忘れただけでも失敗してしまいます。
それが一度や二度なら寛容にやりすごせますが、一日に何枚もパンツを洗う、
それが何日も続く事態になると、つい①のように「もう!何回パンツを汚したら気が済むの!」と言ってしまうこともありました。
それでも、子どもはパンツを汚したくてやっているわけではないんですね。
遊びに夢中で「まだ大丈夫。まだ我慢できる」と行きそびれて汚してしまうのでしょう。
子どもは、本当はできることならちゃんとトイレで用を足したいと思っているし、
ちゃんと成功して大好きなお母さんにほめてもらいたいと思っているのです。
「子どもって一回でできるわけではないんだなあ」
「こんなに何度も失敗して、こんなに長い期間をかけてやっとできるようになるんだなあ」
というのが子どもを見て思ったことです。
4.生活習慣形成の基本原則
「一回でできるわけではない」でも「いつかはできる」という生活習慣があります。
その時の指導原則は「教えて励ます」「教えてほめる」です。
③「おしっこはトイレでするんだよ。次はできるようになろうね!」
という言葉は二つの要素から成り立っています。
教える+励ます
「おしっこはトイレでするんだよ」と教え、「次はできるようになろうね!」と励ます。
これが、
出来ないことを教えるときの基本原則
です。
できた時は「ほめてあげる」です。
佐々木正美氏は『子どもへのまなざし』の中で次のように書かれています。
優しく、できるまで繰り返し繰り返し伝えるのです。
失敗すれば、また教え伝えるのです。
伝えるところまでがしつけでありまして、
いつからできるようになるかは、子どもまかせにしてあげるところに、
しつけのいちばん重要なカギがあるわけです。
トイレを失敗したら、
「おしっこはトイレでするんだよ。次はできるようになろうね!」と教えて励ます。
また失敗したら、「おしっこはトイレでするんだよ」と教える。励ます。
その繰り返しです。そうやっていつの日にか、出来る日がやって来る。
それが生活習慣形成の基本原則です。
私は、トイレでするよという声がけプラス、失敗してもいいんだよ!と声がけをしていました。
失敗しても、そうきましたか~くらいのスタンスでゆったりとした子育てをしていきたいですね。
それはまさに「励まし!」ですね。(^^)/
子どもへのまなざし計3巻を持っていますが、最近読んでいませんでした。
子どもまかせにしてあげる。
その考え方、良いなと思いました。
読み返します。