講座568 子どもの「遊び」には発達のステップがある

幼稚園における自由活動の時間になりました。
子どもたちはホールに出て様々な遊びを始めます。
お店屋さんごっこを始めた女の子たちがいます。
鬼ごっこのようなことをしている男の子たちがいます。
鼻血が出たのか「ツッペ」をして顔で肋木に上っている子。
みんな自由に遊んでいます。
ホールをよく見ると、子どもたちと走り回っている先生もいますし、全体を見守っているだけの先生もいます。
全体を見ている先生は二人で何やら話しています。
これは単なるおしゃべりのように見えますが、職員同士のコミュニケーションとして大事な行為なんです。
話の内容は、子どものことだったり、職場のことだったり、たわいのないことかもしれませんがコミュニケーションというのは職場にとって重要なんです。
しかも、ホール全体の様子を観ながらですから二重の行動をしているわけです。

さて、こうした自由時間は子どもを観察する絶好の機会でもあります。
〈まったく自由な場においてどんな行動をとるか〉ということを観察するわけです。
その時に役立つのが「パーテンの遊びの分類」です。
パーテン(M.B. Parten)は、幼児の社会性の発達段階を「一人遊び」から「協同遊び」まで6つの段階に分類しました。

これは幼児が年齢とともに他者との関わりを深めていく様子を分類したもので、保育・幼児教育の現場で子どもの成長を理解する重要な指標です。
①無活動 [0〜3か月頃]
目的や意図を持たず、周囲を見渡したり、ぼんやりしたりしている状態
②一人遊び [0か月〜2歳頃]
他児に関心を示さず、一人で玩具に集中して遊ぶ
③傍観遊び [2歳頃]
他児の遊びをじっと見たり、声をかけたりするが、自分からは入っていかない
④並行遊び [2歳以上]
同じ場所で同じような遊びをしているが、子ども同士で関わりや協力はしない
⑤連合遊び [3〜4歳頃]
ごっこ遊びや道具の貸し借りはあるが、役割分担や厳密なルールはない
⑥協同遊び [4歳以上]
共通の目的のために、役割分担やルールを子ども同士で決めて遊ぶ
年齢が上がるにつれて「一人遊び」から「協同遊び」へと発達していくのが基本ですが、
これは「一人遊び」がダメということではなくて、発達には必要なことなのです。
そして、この年齢はあくまでも目安で個人差があります。
この「6つ」において重要なのは、「遊び」にはこうした種類があって、子どもはこのような遊びを経験しながら社会性を身に付けていくということです。
保育に関わる先生方は、こうした知識を持って子どもたちの遊ぶ姿を観察しているわけです。

さて、ホールで遊び回っている子どもたちの姿を「6つの遊び」で観察してみましょう。
いました、いました。
みんなと遊んでいるように見えても、ちょっと気になる姿のB君です。
B君は他の園児と鬼ごっこをしているように見えますが、逃げているのではなくて、他の子を追いかけて攻撃をしてばかりいます。
実はこれ、みんなと鬼ごっこをしているのではなくて、自分の世界に入って闘いごっこをしているのです。
ということは、まだ「協同遊び」が出来ていないお子さんである可能性があります。
では、B君は「6つの遊び」のどの状態なのでしょう?
B君のこの遊びは④の「並行遊び」です。
「同じ場所で同じような遊びをしているが、子ども同士で関わりや協力はしない」という状態です。
これは基本的に「2歳」の頃に現れる遊びですから、B君にはこれから「他者とのかかわり」が必要ということがわかります。
そして、他者とかかわるためには攻撃ばかりしているとトラブルが発生するので支援が必要です。
どんな支援かと言いますと、「ソーシャルスキル」を持たせる支援です。
具体的には、「いーれて!」とか「ごめんね!」などという遊びの中で使う重要言語を教える支援です。
トラブルを回避したり、トラブルが起きた時に謝ったり、遊びに参加する時に大事になる言葉だったり、そのようなキーワードですね。
そうした言葉を、遊びの中で、「ここぞ!」というタイミングで教えてあげます。
そうした支援の反復で、B君のようなお子さんは〝遊びの階段〟を、他の子よりゆっくりであっても自分で上って行くことができるようになります。
幼稚園のホールで日々繰り広げられている自由遊びには、こうした重要な体験の場面が存在しているのです。



