講座392 どうしても怒ってしまうお母さんへのアドバイス!
私が担当しているラジオ番組の中で相談を受けました。
どうしても我慢できなくて子どもを怒ってしまうんです。
どうしたらいいでしょう?
そのお母さんは言います。
「我慢してるんです。でも、スイッチ入っちゃうんです!
そしたらもう止まらなくなっちゃうんです!」
笑顔が素敵なお母さんです。
それでも、こうなっちゃうんですね。
どうしたらいいのか?
番組の中で話したことを紹介します。
2.我慢しないお母さんの対応①
3.我慢しないお母さんの対応②
4.我慢しないお母さんの対応③
1.我慢しない!
まず、我慢をしないことですね。
世間では、
「怒るのはよくない」とか、
「怒らずにほめましょう」とか、
「『怒る』と『叱る』は違います」とか、
いろんな言葉が出回っているので、「怒ることを抑え込んでしまう」という行動が増えているように感じます。
でも、怒るのを我慢するのはよくありません。
自分にとってのストレスになるばかりか、
その我慢している時間は、子どもにとって何の意味もありません。
多くの場合、お母さんが我慢していることは子どもに伝わっていません。
両者にとって、いい事がないわけです。
それどころか、我慢するから最後に爆発するわけです。
スイッチが入って止まらなくなるわけです。
無視できるのなら、さらりと流せばいいだけです。
でも、無視できないのなら、我慢せずに、その場で吐き出しましょう。
2.我慢しないお母さんの対応①
番組にはもう一人のお母さんがいます。
子育てをしている美人アナのMさんです。
Mさんは我慢しません。
Mさんにやり方を紹介してもらいました。
①最初は優しく「もうやめてね」と言う。
②それでもやめなかったら「もうそろそろやめてね。ママ2回目だよ」と言う。
③それでもやめなかったら「ちょっと大丈夫?ママ3回目だからね」と言う。
これはいいですね。
どこがいいか、わかりますか?
回数じゃありませんよ。
我慢しないところがいいのです。
(1)その場ですぐ言う。
その場でその瞬間に言うから、子どもは何がイケナイのか、分かり易いのです。
これが、我慢して、タイミングがずれちゃうと、伝わらない時があるのです。
親の方も、叱るタイミングを逃すと、叱るに叱れず、また我慢しなければならなくなります。
ですから我慢するのはよくないのです。
(2)優しく言う
最初は優しく「もうやめてね」でした。
この「優しく」に意味があります。
キツイ口調で言うと、どうなるかわかりますよね。
そうです。「3F」です。
動物脳が防衛反応を起こします。
子どもは冷静さを失うので前頭前野が働きません。
論理的・道徳的に状況解釈できなくなります。
(3)「もうやめてね」
この6文字にも意味があります。
分解すると「もう/やめてね」ですね。
この「もう」に意味があるのです。
比べてみてください。
A「やめてね」
B「もうやめてね」
Aは、いきなり言われた感じがします。
Bは、一拍おいてます。
子どもは、「もう」の時点で母親が何か言うことに気づき、「やめて」が耳に入って来やすくなるのです。
これは学校の先生が朝、教室入った瞬間の挨拶と同じ原理です。
A「おはようございます!」
B「ハイ、おはようございます!」
先生が来る前の朝の教室は、子どもたちが自由に動いています。
その状態で先生が入って来たとします(前のドアも開いていたとしましょう)。
Aだとびっくりしますよね。
でも、Bだと「ハイ」の瞬間に先生が来たことがわかって、挨拶を返しやすくなります。
プロである学校の先生は、こんなところも意識して対応しています。
「やめてね」と「もうやめてね」の違いが理解できましたでしょうか?
念のために書いておきますが、
「やめなさい!」とか、
「やめろ!」とかが、いかに効率悪いかも理解できると思います。
3.我慢しないお母さんの対応②
(4)気づかせる言葉は5秒以内
「もうやめてね」
5秒以内で言えます。
「今、ちょっとうるさいよね」
これでも5秒以内です。
これが10秒を超えるとどうなるか?
「もうやめてね。お母さん今、頭痛くなって来たわ。お願いだから静かにして。それ、あっちの部屋に持って行けばいいんじゃない。ここでやらなくてもいいと思うんだけどなあ」
言葉が言葉を引き寄せる
10秒を超えると言葉が別の言葉を引き寄せます。
しまいには「お説教」になってしまいます。
これが5秒以内だと、短く終われるのです。
「もうやめてね」
「今、ちょっとうるさいよね」
これだけです。
4.我慢しないお母さんの対応③
①最初は優しく「もうやめてね」と言う。
②それでもやめなかったら「もうそろそろやめてね。ママ2回目だよ」と言う。
③それでもやめなかったら「ちょっと大丈夫?ママ3回目だからね」と言う。
この対応が効果的な理由はまだあります。
「ママ2回目だよ」
ここから何がわかりますか?
「回数を告げている」という点にも一定の効果はあります。
「4回目の時は怒るよ!」などという「脅し効果」ですね。
でもこれは、できれば怒らずに済ませたいですよね。
実は、この対応には、もう一つの大事な効果があるのです。
それが「怒らずに済ませたい」という願いを実現させてくれる効果になっています。
(5)パターン化する
「もうそろそろやめてね。ママ2回目だよ」という言葉から何がわかるかというと、
いつもこの叱り方(注意の仕方)をしているということがわかります。
①②③は定型(パターン)なのです。
最初の「(優しく)もうやめてね」からパターンなのです。
そうすると子どもはどうなると思いますか?
考えるようになる
①の時点でやめることは少ないかも知れません。
「まだ大丈夫だな」なんて考えてふざけ続けるかも知れません。
でも、②の時点になると「そろそろヤバイかな?」とか「いや、まだいいかな?」などと考えますね。
何を考えるかと言いますと、
・今やっていることの楽しさ(もっとやりたい気持ち)
・今日の周囲の状況
・これまでの経験
・今日これからの予定
・今日の親の機嫌(顔・声の様子)
など、子どもなりに考えることでしょう。
これは学年が上がるにつれて判断が適切になるはずです。
つまり、
経験が積み重なる
これです。
これがパターン化のよい所です。
9歳以下の時代は「3回」でも自制できないかも知れません。
5歳以下だと自制できなくて普通です。
でも、意図的にパターン化しておくと経験は必ず積み重なります。
突然怒りだした場合と比べてみてください。
どんなに親が我慢していても、親の頭の中の沸騰具合いは伝わりません。
言葉にして伝える必要があります。
その言葉は動物脳を刺激しない言葉でなければなりません。
パターン化は先が見えているので防衛反応が起こりません。
自分で考えるようになるのです。
まとめます。
我慢しないで、すぐにその場で、優しく、短く、気づかせる。
この「気づかせる」が大事です。
我慢できなくなって突然怒り出していました。我慢しない2文字追加した具体的な声掛けが勉強になりました。
タミちゃ!