『母』VOL.2
副題:子育てのための人間学
雑誌『致知』の別冊です。VOL.1は令和元年に発刊されて1か月で1万部を完売。今回はその続号です。雑誌のバックナンバーから「子育て」に関する記事を再編したものなので私にとっては過去に読んだものが多くありました。特に印象に残っているのはタレントのコロッケさんのお母さんことです。
今回の発刊にだけ掲載された新しい記事もありました。それが池江美由紀さんと杉山芙沙子さんの対談です。池江さんは水泳の池江璃花子さんの母、杉山さんはテニスの杉山愛さんの母です。私が特に関心を持ったのは池江さんのお母さんです。池江さんは七田式幼児教育の講師で、璃花子さんは七田式で育った選手だからです。いくつか印象に残ったところを紹介します。
その場で気持ちを切り替えることができました。
璃花子さんが白血病であることを医師から告げられた瞬間の場面です。末っ子で一番元気で、しかもアスリートの我が子が「白血病?」それを告げられた瞬間の様子をお母さんは次のように語っています。
どんな病気か多少の知識はあったので、大変なことになってしまったなとショックを受けたんですけど、ただそこで立ち止まってはいられないですから。治療に向けて、歩き出さなければいけないんだと、その場で気持ちを切り替えることができました。
「その場」でという言葉、「いられないですから」という言葉、「できました」という言葉。このお母さんもまた親としての「アスリート」と感じました。
璃花子さんのお母さんはとにかくポジティブなのです。
「あなただったら、できるよ」 「あなたの中には、もっともっと可能性があるんだよ」
そういう言葉をかけてきたと言います。女優のように。
母親は女優にならなきゃいけない。
ご主人から「お前はよくそんなこと言えるな」などと言われても、実際の生活にダメな部分があったとしても、過去の自分と辻褄が合わなくても、子どもの前では「女優」でいいのだと言われるのです。強いですね。
幼少期の子どもは暗示にかかりやすいんですよね。
親の言葉や行動をすべて吸収して自分の性格をつくっていくのだから、親は常に、①ポジティブな言葉をかけ、②ポジティブな行動をしていれば、子どもの自己肯定感は育っていくと断言されます。
親が主導権を持つ
「どうしたい?」って子どものいうことを聞き過ぎてしまったり、いろいろな場面で親は過保護になり過ぎている、と池江さんは指摘します。
子どもは右も左も分からない状態で生まれて来るので、何が善で何が悪なのかといったことを親が行動や言葉でしっかり教えていく必要があります。「まあいいか」と折れて子どもに主導権を持たせている親が多いんですよ。
ありますね。これ、その場はそれで楽なんですよね。でも、それは子どもに主導権を渡してしまうことになりますから、次に困る。次に子どもは前に一度通っていますので「既得権」を主張するようになります。そうすると、また主導権を握られる。その繰り返しで子どもは「わがまま」「我慢できない」「目上を敬えない」という人生の不幸を背負うことになるわけです。
まだまだありますが、最後にこの言葉で。
「水泳なんかいつ辞めたっていい。技術があって速く泳げることより、人間性が何より大事だから」と璃花子にはしょっちゅう話してきました。
善悪を教える基準、しつけやマナー、倫理観の基準、対して親子の価値観の違い、時々混同してしまいます。
善悪を教えているつもりが、親の価値観の押し付けなっていたり、、、
ここまで書いていて、やはり、親子の対話、コミュニケーションが大事なのかなと感じました。