講座443 BLW・赤ちゃん主導の離乳食
「BLW」ってご存知ですか?
Baby-Led Weaningの略称で「赤ちゃん主導の離乳食」という意味です。
Led(レッド)は主導の、Weaning(ウィーニング)は離乳食です。
BLWのポイントを私なりに3つにまとめて紹介させていただきます。
2.スティック状
3.赤ちゃんが自分で決める
4.赤ちゃん主導のメリット
5.赤ちゃん主導のデメリット
6.産後ケアGMTによる「赤ちゃん食堂」
1.手づかみ
従来の離乳食は、親がスプーンで与えるスタイルです。
BLWでは、赤ちゃんが自分で手づかみして食べます。
2.スティック状
従来の離乳食は、すりつぶした状態(ピューレ状)にして与えます。
BLWでは、固形のまま(スティック状)で与えます。
3.赤ちゃんが自分で決める
従来の離乳食は、親が口に運びます。
BLWでは、赤ちゃんが自分で選びます。
4.赤ちゃん主導のメリット
BLW(赤ちゃん主導の離乳食)のポイントを3つ紹介しました。
これにはどんなメリットがあるのでしょうか。
(1)目と手指の連動で、脳が発達する。
「手づかみ」は手指(しゅし)の運動です。
当たり前ですが、手と指は脳とつながっています。
どのくらいつながっているかというと、《ものすごく》つながっています。
この図を見て下さい。
これは「ペンフィールドの脳地図」と呼ばれるものですが、脳とのつながりの大きさを視覚的にわかるように作られています。
右側(運動野)の方を見てください。
手と指が他より大きく描かれていますよね。
これは、手と指が脳と物凄くつながっていることを表しています。
脳は使えば使うほど発達します。
使わなければ発達しません。
つまり、手と指を使うことは脳の発達に影響するということです。
また、左側の感覚野では「唇」の占める割合が大きくなっています。
乳児ではこの割合がもっと大きくなります。
何でも口に持っていって確かめるのは《手指を使う前段階》です。
ですから、口に運んで確かめることも脳の発達に影響します。
以上のことを立体的に表したのがペンフィールドの「ホムンクルス」です。
(2)口呼吸になりにくい。
スティック状の食べ物を自分の手で持って食べると、「口を動かす」「噛む」「歯や歯茎でしごく」「かじり取る」などといった動きが必要になります。
ですから、口や舌の筋力トレーニングになります。
あえて硬い固形物を手に持たせるのは、このねらいがあるからです。
つまり、「手づかみ食べ」は「お口ぽかん」を防ぐのです。
このことについては、講座442で詳しく解説しました。
(3)赤ちゃんの成功体験になる。
①自分で見て
②自分で選んで
③自分でつかんで
④自分で口に運んで
おいしかったら、それは成功体験です。
乳児の能力は3つあります。
・確認能力(定位行動)
・発信能力(発信行動)
・接近能力(接近行動)
乳児はこの能力を使って親との信頼関係を結びます(愛着形成)。
「手づかみ食べ」はこの愛着形成の仕方とよく似ています。
自分で見て、色やにおいを認識して、触って、手をのばして、つかんで、食べてみる。
赤ちゃんが、泣いて親に不快や不安を知らせて、親に来てもらって安心する過程と似ているのです。
それがうまくいけば成功体験ですから、「手づかみ食べ」は成功体験を手に入れる絶好の機会です。
それをさせないで、親主導の離乳食ばかりしているともったいないです。
せっかくの機会を逃してしまうことになります。
成功体験は乳児期における最大のテーマです。
ここで人生が決まると言っても大袈裟ではありません。
そのほかにはこんなメリットもあります。
(4)赤ちゃんの意欲や自主性を育む。
(5)親子の奮闘が起こりにくくなる。
(6)離乳食をつくる負担が減る。
5.赤ちゃん主導のデメリット
デメリットはこれです。
散らかる
こんな感じですね。
服やテーブルだけではなく、床も散らかるでしょう。
前掛けをしても意味がないという感じです。
中には、ポイポイと食べ物を投げ捨てることもあるでしょう(よくあります)。
それもこれも覚悟の上です。
そして、できるだけ散らかることを防ぐために、床にシートを敷いたり、どうなってもいい恰好でたべさせたり、そうした工夫も必要でしょう。
覚悟と工夫
それがBLWには必要です。
しかし、そんな大変さに比べれば、メリットは(1)~(6)まであります。
こちらの方が赤ちゃんの財産になりますし、ゆくゆくは、子育ての手がかからない子に育っていくはずです。
何より上の写真の子の表情を見てください。
うれしそうですよね。
左の写真は、森井菜々子のブログのものを使わせていただきました。(出典:「BLW 離乳食のメリットとは?楽しい?楽チン?実態は!?」
右の写真は、私たちのサークルで出版した表紙のお子さんです。(出典:『子育て写真集・6歳までに1000の体験!0歳~1歳編』)
このお子さんは出生時の体重が1050gだった極低出生体重児でした。
しかし、ごはん粒いっぱい付けた写真からもわかるように、手づかみしても叱られず、明るくのびのびと育ちました。
現在は様々な体験をして写真のようにたくましく育っています(体重も標準域になっています)。
ということで、デメリットの先には幸せが待っています。
ぜひ、BLW(赤ちゃん主導の離乳食)に挑戦してみてください。
6.産後ケアGMTによる「赤ちゃん食堂」
今回の記事は2024年1月21日に北海道・中標津町で開催したイベント「赤ちゃん食堂」でのプレゼンを再現したものです。
北海道で初となる「赤ちゃん食堂」は大成功のうちに終わりました。
このイベントの詳細についてはこちらをご覧ください。
「産後ケアGMT」について