《サブタイトル》
小学校卒業まで育てたい「基礎的な学習力」と「基礎的な人間力」
学校の勉強というのは、実は「その学年の勉強」だけ出来ていればよいというものではありません。
4年生でかけ算の九九ができていなかったら、卒業までにはできるようにさせてあげる。
そういった、確認し、挽回させるチャンスをつくってあげるのも学校の役目です。
これは親が心配する前に、学校がやることです。
ただし、気づいた先生が一人でやるだけでもダメです。
それだと、その先生が「たまたま教えてくれた」というだけです。
ほかのクラスの先生も同じように、確認し、挽回させるチャンスをつくってあげるべきです。
つまり、学校全体としてのシステムがそうなっていなければ出来ません。
もう一つあります。
6年間という長い期間を通して、「基礎的な人間力」を育てる教育です。
これも一人の先生だけでやれることではありません。
学校全体のシステムが必要です。
【A】一人の残らず、すべての子どもの「基礎的な学習力」を確認し、卒業までに挽回させる。
【B】6年間という年月をかけてすべての子どもに「基礎的な人間力」を育てる。
この2つについて書かれた本があります。
私の師である向山洋一が書いた『図版版・どんな子だって「勉強できる子」になれる』です。
私はこの本をくり返し読んで、ノートにまとめ、それをさらにA4の紙一枚にまとめました。
大きく3つに分かれています。
1.勉強ができる子に共通すること(3つしかない)
2.勉強ができる子に共通する学習の秘訣
3.伸びる子に育てる三つの極意
これを見て、「おや?」と気づいた方はいませんか?
実は、この本の内容は他の教育書とは全く異なるコンセプトで書かれています。
勉強として大事な内容ではなく、「勉強ができる子」に共通していたという事実から書かれている
しかも、一人の教師の実感した事実、実践を通してつかんだ事実です。
だから具体的であり、他の本には書かれていない「小さな事の大事さ」が書かれているのです。
これは教師にとって「特別なこと」ではありません。
昔から、多くの教師がこのようなことを頭に描いて、日々、子どもたちに実践していたはずです。
ただ、このように本になってまとめられたものを私は知りませんでした。
だから「これは貴重だ!」と思ったわけです。
「たくさんの先生方に広めたい!」
「できれば学校全体で取り組むシステムにして欲しい!」
そう考えて一枚にまとめました。
興味深い点がもう一つあります。
「勉強ができる子に共通すること」が勉強ではなく生活の中の小さな行いであるという点です。
(1)あいさつができる
(2)返事ができる
(3)あとしまつができる
この三つです。
「勉強ができる子」にはこうした共通点があるという事実です。
(念のために書き添えておきますが「この三つ」は強制して身に付くものではありません)
恐らく、長い時間をかけて、自然に身につけたことだと思います。
もし、これを学校でもやるとするなら、学校全体で6年間かけて、自然な形で、取り組む必要があると考えます。
「学習の秘訣」を見てみましょう。
「学習の秘訣」は教科ごとに分かれていますが、まとめて言えば「学習する力」です。
・補助計算を使う
・ノートの使い方
・漢字学習の仕方
・資料の読み取り方 など
こうした学習力は6年間通して教えてもらった方がいいに決まってます。
つまり、一教師の判断ではなく、学校のシステムとして成り立たせる必要があるということです。
異動して来た先生や新卒で着任した先生でも同じように保障できるシステムが必要です。
最後に、子どもの個性を伸ばす秘訣です。
(1)励まし、ほめること
(2)持続力をつけること
(3)親の思惑を押し付けないこと
子どもの可能性を「引き出す」方法と言ってもいいでしょう。
個性は様々です。
「どの子にも」その機会を与え、認め、励まし、伸ばしてあげるのが大人の役目だと考えます。
まとめ
【A】一人の残らず、すべての子どもの「基礎的な学習力」を確認し、卒業までに挽回させる。
【B】6年間という年月をかけてすべての子どもに「基礎的な人間力」を育てる。
お子さんの学校にはこのシステムがありますか?
学校になければ、家庭で確認してあげてください。
実は、年齢が上がるほど「挽回力」は高いのです。
6年生なら1年生の漢字をあっという間に復習できるはずです。
また、こうしたシステムのない学校は、新年度に向けて学校を改善するチャンスです。
教務主任の先生を中心に取り組んでみていただけたらと思います。
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