『坂東先生の教育講座』
副題:子どもの心を育てる
今回ご紹介するのは、坂東義教著『坂東先生の教育講座』(テレビ朝日)です。折り目は6つ。古い本なので多分、絶版でしょう。
みなさん「溝口モーニングショー」ってご存知ですか? 知っている方は私と同世代かそれより上の方だと思います。当時は有名な朝番組でした。「モーニングショー」だけで多くの国民に通じました。
その番組の有名講師が「坂東(ばんどう)先生」でした。超人気者で、今で言えば「尾木ママ」や「林修さん」のような存在です。特徴は函館弁。坂東先生は函館出身で北海道教育大学函館校の教授でした。函館のなまりは青森弁と似ています。なまりのない札幌とかとは大違いです。「えさへてけ」ってわかりますか?「家に入ってご飯を食べて行きなさい」という意味です。私も函館生まれの函館育ちなので坂東先生のお話は理解できました。(笑)
この本は私が人生で初めて読んだ教育書です。10代の頃、母の実家に置いてあったこの本を叔母さんから譲り受けたのです。私もテレビで坂東先生を知っていたので興味があったのでしょう。それから何度もこの本を読むことになりました。
愛は「の」の字から始まる
坂東先生の言葉です。この本の骨格です。私の子育て講座でも紹介させていただいているので、ご存知の方も多いと思います。我が子が「お母さん、おなか痛いよお」と母親に訴えて来た時に、「さっきのおやつ全部食べたからじゃないの!」などという知識的なしつけ的な対応をするのではなく、「あら、おなか痛いの~」と、子どもが言った言葉に「の」の字をつけて返してあげる。それが子どもの気持ちを受け入れる「情」の対応になるというお話です。
「あ母さん、おなか痛い!」「あら~、おなか痛いの~」
「うん。おなかいたい!」「痛いんだねえ~」
そんなやりとりをしているうちに、子どもは、「ううん!もう痛くない!本当はウンチしたかったの!」などと言ったりします。子どもは無意識のうちにも、ウンチより前に母親の愛情を確認したかったのかも知れません。それがあって自分から「ウンチして来る!」という自立が始まるわけです。