講座570 幼児期の「足の裏」は超重要!

M先生は子どもたちの遊び道具を作る名人です。
身近な材料を使って、意外な物を作っています。
たとえば、こんなの。

これ、何だか分かりますか?
これは園児がこの上を歩くことによって、色々な刺激を足の裏で感じることができるマットです。
保育の場では、このようなものを「センサリーツール」と言います。
「感覚を調整するための道具」という意味ですね。
主に発達障害や感覚過敏・感覚鈍麻を持つお子さんが、周囲からの刺激を適切にコントロールし、集中力を高めたり、心を落ち着かせたりするために使用されます。
M先生はそれを身近な材料で作ってしまう名人なんです。

ところで、足の裏の感覚って、そんなに大切なのでしょうか?
実は、足の裏の感覚は子どもにとって超重要なんです!
ざっと説明するだけでも次の5つのことに関係します。
1.姿勢がよくなる
2.バランス感覚が育つ
3.「身体地図」が育つ
4.運動計画力が育つ
5.感覚統合が育つ

1の「姿勢がよくなる」というのは、正確にいうと「姿勢をコントロールする力が育つ」ということです。
足の裏の皮膚受容器やその奥にある筋肉・腱・関節などの固有受容器から脳へ刺激が伝わって、
「まっすぐ立つ力」
「倒れそうなときに戻す力」
「不安定な場所でも身体を支える力」
「滑りそうな時に踏ん張る力」
などをコントロールします。

2の「バランス感覚が育つ」は言葉の通りです。
平均台や片足立ちやジャンプでの着地、坂道、砂場、マット遊びなどでのバランス感覚に結びつきます。

3の「身体地図」というのは聞きなれない言葉ですね。
自分の足がどこにあるか、どのくらい力を入れているか、地面にどのように接しているか、を脳に知らせる力です。
これにより、子どもは
「このくらい踏むと止まれる」
「ここに足を置くと安定する」
「つま先で押すと跳べる」
「かかとから着くと止まりやすい」
という身体の使い方を学びます。
つまり、自分の身体を思い通りに使う力の土台ということです。

4の「運動計画力」というのは、〈次の動きを決めるための能力〉です。
目で見た道の状態を判断して、力加減に気をつけたり、毎回違う足裏情報に合わせて動きを調整する力です。

5の「感覚統合」は保育現場における重要な言葉です。
視覚、前庭感覚、固有受容感覚といった複数の感覚を組み合わせる経験です。


ざっと説明しただけでもこのような能力を発達させる機会になるのです。
「足の裏」って重要ですよね。
ところで、一言で「足の裏」と言っても、足の裏の「ある部分」に感覚が育つポイントがあるんです。
その場所とは、次の3つです。
①つま先(特に親指)
②足の指の付け根
③足の外側から踵にかけての縁
この三か所には「メカノセレプター」という刺激受容器が集中しています。
メカノセレプター「今、足がどのように地面に接しているか」という情報を脳へ伝えるセンサーなのです。

さて、たかが「足の裏」されど「足の裏」。
そして、「センサリーツール」の役割が見えてみましたよね。
最後に、ではなぜ幼児期に足の裏への刺激が大切なのかを説明しておきましょう。
(1)幼児期は、姿勢・歩行・走る・跳ぶ動きが急速に発達する時期だから
(2)幼児はまだ「感覚を統合する脳」が発達途中だから
(3)幼児期は身体図式がつくられる敏感期だから
幼児期は長い人生の中において「運動」と「感覚」が最も発達する超重要な時期というわけです。
さらに、それだけではなく、こうした「運動」と「感覚」の発達は、「情緒」や「注意力」の発達にも密接につながっています。
身体感覚は「自分を整える力」と言い表すこともできます。
そして、もちろん、このようなことを「遊び」を通して発達させるのが保育です。
たかが「足の裏」されど「足の裏」!

最後に、専門的なセンサリーツールの紹介!
特に、ハイハイや歩行を始めたお子さんをお持ちの方や保育園・幼稚園などで床マットの購入を考えていらっしゃる方にオススメです!




