講座549 出前授業「赤ちゃん学」5000名突破!

出前授業「赤ちゃん学」が5000名を突破しました!
2025年10月29日時点で5455名の小中高校生が受講されたことになります。
目標は1万名ですので、まだまだ道半ばですが、引き続き活動してまいります。
今回はもっとも最近実施してくださった東京都立小平高校2年生の記録を紹介させていただきます。
2.感想A群(知ってよかったという感想;120件)
3.スマホの影響
4.批判的な感想を書いてくれたK君
5.この授業の社会的意義

1.AIによる分析
いただいた感想は、なんと「180人分」です!
もちろん全部読ませていただきましたが、これは分析するチャンスだと思ってAIに分析をさせてみました。
まずは「楽しさ」の評定結果です。
私はこの授業の評定基準を「楽しさ」で判断しています。

そこでまず、《授業を「楽しさ」で評定する意義》についてAIに解説させました。
「楽しさ」を基準に授業を評定する意義
「楽しさ」を評価基準にすることは、統計的な優位性だけでなく、教育的効果を測る上で重要な意義があります。
(1)内発的動機づけの指標
「楽しさ」は、生徒が自ら学びたいという内発的な動機づけを持っていることの直接的な証拠です。統計的に高い「t値」は、単なる知識の押し付けではなく、生徒の興味・関心を引き出し、積極的な学習態度を促すことに成功したことを意味します。
(2)知識定着と実践意欲への影響
楽しかったという感情は、授業で得た知識をエピソード記憶として定着させやすくします。以前の分析で示された「知ってよかった」(A群)や「実践したい」(B群)という生徒の意欲は、この高い「楽しさ」によって裏打ちされ、知識を将来の行動に結びつける力を高めます。
(3)「家庭科」における実学的価値
「赤ちゃん学」は、生徒が将来直面する可能性のある「育児」という生活上の課題を扱います。この分野において楽しさを評価することは、「学びたい」という意欲を喚起し、社会で役立つ知識を身につけさせるという、この教科の目標達成度を測る上で特に重要です。
(4)非認知能力の育成
「楽しさ」は、自発性、協調性、創造性といった非認知能力の伸長と密接に関連しています。例えば、ロールプレイングで筆入れを乳児に見立てて楽しめた生徒は、与えられた制約の中で工夫し、協働する力を発揮しており、楽しさはこれらの能力を測る間接的な指標となります。
(5)心理的安全性の確保
授業が楽しいと感じられることは、生徒が「恥ずかしがる」(ロールプレイングの課題)ことなく、疑問や意見を自由に発言できる心理的な安全性が確保されている状態を示唆します。
(6)内省と継続的な学習意欲
「思っていた謎が解けた」「将来のためにもっと勉強するべき」といった、授業内容をきっかけに自身の考えを深め、継続的な学習の必要性を認識した生徒も見られます。
(7)教育効果の普遍性
「楽しさ」に対する「t検定」の結果が有意であることは、一部の生徒だけでなく、クラス全体にわたって授業の「魅力」が浸透していたことを示しており、授業設計の普遍的な成功を証明しています。

t検定という簡単な統計処理もさせてみました。

この授業の「楽しさ」に対する平均評定は、t値が21.40となり、有意水準1%で基準値を遥かに上回りました。
したがって、統計的に見て、生徒の大多数がこの授業を有意に「楽しかった」と評価していることが極めて明確に示されました。
ということでこの授業は《成功した》と判断してよいと思います。
もちろん、これは私一人の成果ではありません。
授業をされたのはこの高校の家庭科の先生です。
私は単なるコンテンツです。
画面の中で問題を出したり、解説したりしただけです。
したがって、この結果は《出前授業「赤ちゃん学」というシステムの成果》だと言ってよいと思います。
【AIが出した結論】
統計的に見て、この授業は生徒に知的好奇心を満たすとともに、学習活動そのものを楽しませることに成功しており、極めて高い評価を得たと言えます。この「楽しさ」は、「知ってよかった」(知的好奇心)(感想A群: 66.7%)や「実践したい」(将来への意欲)(感想B群: 23.3%)といった積極的な学習態度を裏付けるものです。

2.感想A群(知ってよかったという感想;120件)
A群というのは「知ってよかったという感想」です。
これが180件中120件ありました。
その中から5名の生徒さんの感想を紹介させていただきます(この5名もAIが選びました)。
「赤ちゃんを抱っこする前などにする反応について、今までは可愛いとしか思っていなかったが、能力であったとはじめて知り、面白かった。(Aさん)
自分の知らない赤ちゃんの知識もたくさん増えたのでこれから子育てをする可能性がある私たちにとってはものすごくよい体験になったと思いました。(Bさん)
揺さぶり症候群な知らないと命にかかわることも知ることができたのでよかったです。(Cさん)
赤ちゃんはただ「小さな人間」ではなく、驚くほど多くの能力や感情を持って生まれてくることを知りました。(D君)
教科書にも載っていないことや今まで思っていた謎が今日でとけた気がします。とくに歩くと泣き止むのには哺乳類の本能があると知ったところです。(E君)
ちなみにB群というのは「自分も親になった時に習ったことを実践したいという感想」です。
これは42件(23.3%)ありました。

3.スマホの影響
今回使っていただいたコンテンツは「赤ちゃん学2026」といって、2026年版です。
以前と異なるのは「スマホの影響」を加えたことです。
そのことに触れた感想も多く見られました。
スマホが一番の敵になるのが意外だった。あかちゃんと一緒にやることが大事だなと思いました。(A君)
将来赤ちゃんが欲しいのでその時は赤ちゃんにたくさん愛情を注いであげたい。スマホとのかかわり方も考えたい。(Bさん)
自分が将来子育てをするときにスマホを見ながら接しないなど今回の授業で学んだことを生かしていきたい。(Cさん)
いつも思うのですが、既に将来のことを考えて授業を受けているのです。
そういう高校生は必ずいます。

4.批判的な感想を書いてくれたK君
肯定的な評価が多かった中で、一人だけ異質な感想を書いてくれた生徒がいました。
ほんとかなあと疑わしいところが多かった。(K君)
どこが疑わしかったのかはわかりませんが、私はこういう生徒を大切にしたいです。
遠く離れていても「会ってみたい!」と思います。
でも、会いに行くことは出来ませんので手紙を書きました。
その手紙を紹介させていただきます。
K君へ
「赤ちゃん学」の授業を作りました水野正司です。
M先生を通してK君の感想を読ませていただきました。
180人の生徒さんの感想の中でK君の感想が光って見えました。
「ほんとかなあと疑わしいところが多かった」という感想です。
このような批判的な感想を書いてくれたのはK君だけです。
このような考え方や態度を「批判的思考(クリティカルシンキング)と言いますが、世の中を生き抜くために必要な要素です。
特に、これからはAIを活用する機会が増えますからさらに大切になってきます。
ちなみに、AIがもっともらしいウソをつくことを「ハルシネーション」と言いますが、少し前に出たChatGPT-4oのハルシネーションは15.8%と言われています。
今の5.0ではもっと改善されていると思いますが、AIに対してもK君のように疑う態度は不可欠です。
その上で、今回の「赤ちゃん学」での信頼性についてお伝えします。
結論から言いますと、この授業の中の情報についてはすべて信頼してもらっても大丈夫ですということです。
なぜなら、この授業については、昨年の10月に書籍化されていて、内容については行政書士の厳しいチェックも受けているからです。
一般的には《本に書いてあるからその情報は正しい》ということはありません。
本でも嘘はたくさんあります。
でも、行政書士のチェックを受けた本は信頼性が極めて高いことになります。
行政書士というのは、事実証明に関する書類の作成が仕事の国家資格者です。
出版社がお金を支払ってその人のチェックを受けています(本の最後に行政書士の名前も書かれています)。
ただし、このことについては生徒さんたちには伝えられていないと思いますので、疑われても仕方ありません。
そこで、授業を受けた生徒さんたちの視点で《信頼できる情報化どうかを見分ける方法》をお伝えします。
それは《その情報に出典が明記されているかどうか》ということです。
私たちが日常生活の中で目にする多くの情報は加工・編集された情報です。
これを「二次情報」と言います。
テレビのニュースもSNSに流れる噂もほとんどは二次情報です。
その二次情報に対して、加工・編集する前の最初の情報が「一次情報」です。
元の情報ですね。
その元になっている情報が何かを正直に示したのが「出典」です。
ですから、出典を書かない(隠している)情報は信頼性が低いです。
この見分け方でネット上の記事やYouTubeの動画などを観察すると、それだけで批判的思考のスキルがアップします。
私の授業「赤ちゃん学」は二次情報です。
私が加工・編集しています。
ですから動画の中で使ったスライドでは、できるだけ出典を示すようにしています。
もし、「ほんとかなあ」と思ったならば、先生に出典先を聞いて自分で調べてみてください。
出典が書いてあれば、《誰かが調べることができる》のです。
ですから、《ウソは書きにくい・書けない》ということになります。
しかし、それでも完璧ではありません。
出典に書かれている一次情報が間違っている場合もあります。
最初の情報が間違っていたら、それを使った二次情報もウソになります。
これが《ウソが拡散する仕組み》です。
では、一次情報のウソ・ホントを見抜く方法はあるのでしょうか?
あります。
それは「エビデンス(科学的根拠)」があるかどうかを調べることです。
これが「エビデンスピラミッド」と呼ばれる信頼度の《ものさし》です。
一番下にある「専門家の意見」などは信頼度が低い情報です。
それに比べて、コホート研究から上はかなり信頼度が高くなります。
現在、最も信頼できる情報は「メタアナリティクス(メタ研究)」と呼ばれる研究結果を通した情報です。
この《ものさし》を持っていれば、世の中にあるほとんどの情報に誤魔化されることはないでしょう。
今回はK君の感想を読んで刺激を受けました。
実は、《このくらいはいいだろう》と思って出典を書かなかったスライドもあります。
しかし、それでは信頼してもらえないこともあるのだということに気づきました。
この授業をアップデートしていきたいと思います。
貴重な意見を有り難うございました。
令和7年10月29日 水野正司

5.この授業の社会的意義
最後に、AIに分析させた「この授業の社会的意義」を紹介します。
この授業の社会的意義(極めて大きい)
この授業は、次世代の親となる生徒たちに対し、単なる知識以上の育児リテラシーと倫理観を育むという、重要な社会的意義を持っています。
- 次世代の親としての意識変革:
- B群やC群(優しく接したい:7件)の生徒の多くが、「愛着形成の大切さ」や「愛情を注ぐことの重要性」を認識しています。これは、将来、子どもに情緒的・精神的な安定を提供する親になるための土台となる価値観を形成しています。
- B群やC群(優しく接したい:7件)の生徒の多くが、「愛着形成の大切さ」や「愛情を注ぐことの重要性」を認識しています。これは、将来、子どもに情緒的・精神的な安定を提供する親になるための土台となる価値観を形成しています。
- 現代的な育児課題への対応:
- 特にC群に見られる「スマホ育児は一番の敵」「スマホにとらわれず、たくさんコミュニケーションをとりたい」という感想は、現代のデジタル化社会における育児の具体的なリスクと、それに対する明確な意識と決意を生徒に促していることを示します。
- 特にC群に見られる「スマホ育児は一番の敵」「スマホにとらわれず、たくさんコミュニケーションをとりたい」という感想は、現代のデジタル化社会における育児の具体的なリスクと、それに対する明確な意識と決意を生徒に促していることを示します。
- 家族への感謝と倫理観の醸成:
- E群に含まれる「自分の母や父もこのようなことをやってくれていたと思うと感謝しようと思った」という感想は、授業が自身のルーツや家族への感謝の気持ちを再認識させ、健全な家族観の醸成に貢献していることを示しています。
というわけで、出前授業「赤ちゃん学」は5000名突破です!
1万名目指して頑張り!




