講座566 観察のレンズ

子育てにも保育にも「観察のレンズ」は役に立ちます。
今回は〈「こだわり」は秩序感覚〉という一つの「レンズ」を紹介します。
【観察のレンズ】 「こだわり」は秩序感覚

幼稚園児のT君はT先生が大好きです。
今日もT君は席を離れて、T先生の膝の上に乗ってハグされていました(向かい合わせではなく膝の上で前方を見る形のハグです)。
でも、出席をとるタイミングで先生はT君を席に戻しました。
T君は素直に着席。
その時、自分の席の机が椅子と平行ではなく、ちょっとだけ斜めになっていました。
T君はその斜め具合を自分で真っすぐに直しました。
そうです。これがT君の「得意」です。
すなわち、秩序感覚。
机の位置を真っすぐに直すのは「机はそうあるべきだ」という感覚です。
この感覚は「こだわり」とも言えますが、
ポジティブに捉えると「秩序感覚」です。
「秩序感覚」というのは、
・靴は同じ場所に揃えるべき とか
・順番はいつも通り守るべき とか
・食事の時はこの場所に座るべき とか
・目上の人には敬語で話すべき とか
〈こうあるべき〉という規則を守る感覚です。
これが強過ぎると「こだわり」とも言われますが、
こだわることには理由があります。
〈いつもと違う〉という場面や環境は不安につながるからです。

不安というのは人によって感じ方が違います。
不安を強く感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいます。
「こだわり」の強い人は不安を感じやすい場合が多いのです。
もしかしたらT君も、そのようなお子さんかもしれません。
ですから、「秩序感覚」はT君の強みでもあり弱みでもあります。
そして、そのことを理解して、上手に成功体験を作り出してくれるのが保育や教育ということになります。
これは、ちょっとだけ曲がっていた机の位置を直した1秒くらいの出来事なので、
考え過ぎかもしれませんが、子どもを観察する時のひとつの「レンズ」です。
「レンズ」を持つことは悪いことではありません。
たくさんの「レンズ」を持って、それを子どもの成長のために使うことは、
立場を問わず、すべての大人が持っておくべきだと考えます。



