『怒りをコントロールできない子の理解と援助』
副題:教師と親のかかわり
今回ご紹介するのは、大河原美以さんの『怒りをコントロールできない子の理解と援助』(金子書房)です。
大河原さんは東京学芸大学の先生です。私は大河原先生のファンで、大河原先生の本は全部持っています。もっと知りたくて論文も読んでいます。ご紹介したい本は全部と言っていいのですが、今回はこれを選びました。
哀しみをそのままに表現できる子どもは、
やさしく してもらうことができますが、
怒りという形で表現する子どもは、いつも叱られます。(「はじめに」)
怒りをコントロールできないという状態は、子どもにとって大問題です。しかし、親や教師はなかなかそこに気づくことができません。怒りが発生している現場では大人も冷静に考えることが難しいからです。
怒っている子どもは「怒っている」のではないということ。
このことがわかれば問題の半分は解決したようなものです。怒っている子どもは「怒っている」のではなく、感情をコントロールできていないということです。
ここがわかれば次に進むことができます。
では、どうしたら感情をコントロールできるようになるのか。
実は、感情のコントロール機能の発達には、乳児期の愛着形成が深くかかわっています。「安心・安全」な環境で育てられた子は、コントロール機能が健全に発達すると考えてよいでしょう。
「じゃあ、幼稚園や小学校では手遅れなの!?」
そんなことはありません。コントロール機能は幼児期、児童期にも発達します。ただ、すでに怒りっぽくなっている子には、対応の仕方を考えなければいけません。その対応の仕方が本書にて、「理解」と「援助」という形で示されています。折り目は40カ所付きました。