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新刊『向山家の子育て21の法則』

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 目 次
1.授業技量検定
2.指導案審査
3.問題提起
4.発達障害/愛着障害
5.「3/1000」という運動
6.夢は叶う

1.授業技量検定

私が「子育て」について勉強し始めたのは平成20年(2008年)45歳の時でした。

長女は21歳で、四女は8歳です。

自分の子育ては半ば終わってるようなものです。

どうしてこのタイミングで子育ての勉強を始めたのかと言いますと、

受検のためです。

TOSS授業技量検定という制度がありまして、

授業の力を試す検定試験があったのです。

その検定を受けるために準備した授業が「子育て」でした。

つまり、自分の子育てのためではなくて、

授業のために「子育て」の勉強を始めたわけです。

2.指導案審査

検定は誰でも受けられるわけではありません。

その前に指導案審査というのがあって、その審査に合格しなければ受検資格はもらえないのです。

学校にも校内の研究授業というのがあって指導案という授業の計画を書きます。

でも、TOSS授業技量検定の指導案は、それとはまるで違います。

学校の指導案は学校が掲げる研究テーマに沿ったものを作ります。

たとえば、こんなテーマです。

「自ら問題を見つけ、主体的に問題解決に向かっていくことができる児童の育成」(例)

しかし、TOSS授業技量検定にはテーマがありません。

学校教育における問題を自ら見つけ、「授業」という形で問題提起する。

そういうスケールの指導案を書かなければならないのです。

しかも、それを書いて提出しても、審査が通らなければ授業は出来ないのです。

当時の私が書いた指導案はこれです。

これは枚数が少ない方です。

字が小さくてびっしり書かれていますが、これでもまだ「薄い」んです。

審査に通らないんじゃないかなと思っていました。

でも、提起した問題が良かったのか、運よく授業の切符を手に入れることができました。

3.問題提起

この指導案のタイトルです。

小学校家庭科で育児期における愛着行動の大切さ(赤ちゃん学)を教え、育児文化の崩壊を正す

背景には「虐待」がありました。

当時からニュースや新聞などで虐待報道が目立っていました。

虐待は社会問題です。

社会問題は教育の結果でもあります。

ほぼすべての国民は学校教育を受けて社会に出ています。

学校教育が社会と無関係であるはずがありません。

教師として何ができるか。何をすべきか。

TOSS授業技量検定を受けるためには、こうした教師としての姿勢が問われるわけです。

次が私の立てた仮説です。

【単元設定における仮説】 虐待の根底には、子育てに関する無理解があるのではないか。とりわけ最も弱い存在である“赤ちゃん”に対する理解は相手が物言わぬ存在であるだけに親の知識が子育ての良し悪しを左右する。「赤ちゃんとはいかなる存在なのか」「どのように成長していくのか」「どのように対応すべきなのか」そうした親の知識の有無が子育てに影響することは容易に想像できる。赤ちゃんに対する理解を、最新科学と最新教育学の成果に基づきながら、「赤ちゃん学」として小学校高学年の学校教育に組み込むことで、①赤ちゃんを大切に(適切に)育てようとする心情を早くから育てることができるものと考える。また、②赤ちゃんに対する適切な対応を知識として身につけることができるものと考える。

そこで私は家庭科の教科書を調べました。

各教科書会社の家庭科の教科書を購入して、小中高と調べました。

もちろん、教科書を作るための基準となっている学習指導要領も調べます。

そうすると、学校教育には「親となるための教育」という視点がないことがわかりました。

中学校の家庭科には「幼児の発達」「幼児の生活」「幼児の遊び」などの内容もありますが、

「幼児は遊びを通して成長します」などという内容で終わっています。

しかも、そのことは、自分の成長を振り返りながら理解するという文脈で組まれていて、

「親となるための視点」から理解するようにはなっていません。

さらに言えば、理解の対象は「赤ちゃん」ではなく「幼児」に限られています。

そこで私は指導案に次のように書きました。

現在および近未来の義務教育には、親となるための「赤ちゃん学」が抜け落ちている。

これが現在の私の活動の原点になっています。

4.発達障害/愛着障害

当時、虐待と並んで社会問題化していたのが「発達障害」です。

杉山登志郎先生の『発達障害の子どもたち』という本が話題になっていました。

われわれは子ども虐待の専門外来である「子育て支援外来」を開設し、入院、外来治療、および地域との連携を開設以来行ってきた。(中略)最初に驚いたことは、その中に数多くの発達障害児が存在することであった。具体的な数を出すと、開院後5年間にわれわれが診察を行った子ども虐待患児57名中、広汎性発達障害が全体の24%、ADHDが20%と、この二つですでに44%を占めた。何らかの発達障害と診断される子どもは、全体の54%に達した。(杉山登志郎『発達障害の子どもたち』148ページ)

今はこの問題をエピジェネティックに考えることが当たり前になっていますが、

当時は社会的な非難がかなりありました。

発達障害の原因を親の「育て方」に結びつけるべきではない。

「育て方が悪いと発達障害になる」という考え方は子育てで大変な思いをしている母親たちを苦しめることになる!という非難です。

そうですよね。

その「思い」はわかります。

でも、それでは問題の解決になりませんし、子どもと親の幸せに結びつきません。

私は、事実に基づいた具体的な手立てが必要だと思っていました。

当時、発達障害と並んで問題化されていたのが「愛着障害」です。

「見つめる」「泣く」「後追いする」といった赤ちゃんの行動に対し、親(母親)が不適切な対応をとってしまうことで発症するのが反応性愛着障害(愛着障害)です。

この愛着障害の症状はADHDあるいは自閉症に極めて似ていると言われています。

その関係性は明らかではありませんが、発症を防ぐ方法は明らかです。

子どもの愛着行動に対して、適切な対応をとればよい。

これですね。

そんなに難しいことではないはずです。

「母親がかわいそう!」とか「母親を責めるな!」という話ではなく、

母親を含めてすべての人に「この三つ」を知らせてあげるべきだと思うのです。

戦後の日本に広がった『スポック博士の育児書』が間違っていたことはエインスワースらの実験によって明らかになっています。(参照:テリー・M・リヴィー+マイケル・オーランズ『愛着障害と修復的愛着療法』ミネルヴァ書房)

生後1歳までにおける養育者の対応がその子の愛着パターンを規定する。

でも、私たちはこのことを学校で教えられないまま大人になっているのです。

5.「3/1000」という運動

私の師匠である向山洋一は次のように主張しました。

日本の学校では、一年間に千時間の学習時間がありますが「学習時間のすべてが自分のための学習」になっています。このことを憂え、学習には「自分のための学習」の他に「人に役立つ学習」もあるのだ、それを知ってもらいたいという教師の願いからこの運動は出発しました。(『ジュニア・ボランティア教育』呼びかけ号)

この運動のキーワードとなったのが「3/1000」という数字です。

「一年間に3時間(3/1000)」だけでもよいからボランティアの授業をしませんか?

そういう訴えです。

当初はこれがヒドイ目に遭いました。

「学校でボランティアを教えるなんて何事だ!」

「ボランティアは教えるものではない!自発的にやるのものだ!」

それがどうでしょう。

数年後には、学校の授業で車椅子体験をしたり、高齢者との交流をしたり、手話の授業をしたりなど、

ボランティア教育が日本各地で行われるようになりました。

学校の当たり前を変えるためには必ずと言っていいほど反対の声が上がるものなのです。

私はこの運動を経験していましたので、指導案には次のように書きました。

この志と同じように、「子どもを育てる学習」を日本へ提起する。その子自身が将来親になるかどうかは別である。一人一人の人生とは別に、すべての子が「子どもを育てるための教育」を受けておくことは、ヒトとしても、地域・国家という集団としても、種や集団を維持するために不可欠な教育内容であり、今までにそのことが義務教育で教えられてこなかったことこそ問題であると考える。虐待や発達障害や凶悪事件などの背景には、必ずと言ってよいほど生育歴、家庭環境などの問題が取り上げられる。こうした問題の根底に“不適切な子育て”がある場合が少なくない。すべての子に「子どもを育てるための学習」を施すことは、こうした社会問題を解決するシステムとしても機能するものと考える。

向山洋一は次のようにも書きました。

「ほんの少し」なら、無理はない。
日本中の子どもに普及させようと思ったら、このような配慮は大切だ。(前掲誌)

赤ちゃんが「かまって欲しい」と思う愛着行動のポイントはまさに「ほんの少し」のことです。

でも、子育てをする上ではきわめて重要なポイントです。

そこで私はこの「愛着形成」を中心にして授業を提案しました。

子育てをする上で大切な内容であり、かつ、小学生段階でも理解しやすく、心情的にも、技術的にも、「知ってよかった」「学習して身についた」と実感できるような内容に焦点を当てて取り出す必要がある。愛着行動を中心に次の3時間で本単元を組む。

その後、私は退職して出前授業「赤ちゃん学」を始めました。

現在、1197名の児童生徒が受けてくれています。(開催学校一覧

感想も書いてもらっていますが、どの学校でも出て来るのが次の感想です。

「いま知れてよかった。」

やっぱり必要なことなんだという手応えを子どもの声から実感しています。

高校生の感想をいくつか紹介します。

6.夢は叶う

現在の私の活動の出発点は2008年7月5日の札幌会場での検定授業です。

この時の検定で私は「4級」を取得することができました。

そこから私の「子育て」の勉強が始まりました。

ですから14年くらい勉強してます。

その間に読んだ子育ての本は軽く1000冊を超えます。

一時期、家の中は子育ての本だらけで本棚に入り切らなくなりました。

中には、買ったはいいけどつまらない本もたくさんありました。

やはり、当たりハズレはつきものです。

ハズレだった本はすべてBOOKOFFに持って行きました。

残った本を使って、ノートを作り、ブログ記事を書き、子育て講座をしています。

また、実際に子育てをしている全国のお母さん・お父さん方と交流し、

常に「子育ての現場」から学ぶようにしています。

そうして学び続けたことをいつかは本として出版したい!

それが私の夢でした。

そして、その夢が叶いました!

『向山家の子育て21の法則』(騒人社)

子育ての本を出版することが出来たのです!

電子書籍ではありません。本物の本です。

行動していれば夢は叶うのですね。

書店から注文できるのはもう少し先です。

その前に6/25~7/5の期間限定で先行予約販売を始めました。

ぜひ、予約して手に取ってみてください。

広げていただけましたらうれしいです。

【予約ページ】『向山家の子育て21の法則』(騒人社)


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執筆者:


  1. つむちゃんのお母さん より:

    読んでいて胸が熱くなりました!
    育休前に私のクラスで赤ちゃん学をしました。
    赤ちゃん学を学んだ子供たちが、どんな親になるのか。少しでもあの時の学びが生かされたらと願って仕方ありません。
    この本をたくさんの方に読んでいただきたいです。

  2. まき より:

    水野先生の赤ちゃん学に対する熱い想いが伝わってきました。
    教育が変われば、社会は変わる。
    私たちは、社会を変える切符を持っているのだと実感しました。

    この書籍の執筆に携わることができ、本当に幸せです。
    沢山の方に読んでいただきたいですね。

    • 水野 正司 より:

      上善如水。
      時間をかけて、場所を定めて、一滴一滴。
      落とし続ければ岩をも通します。

  3. みや より:

    「子育ての本は軽く1000冊を超えます。」
    その中身がぎゅっと凝縮されているのですね。
    手に取るのが楽しみになりました。

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