『行為障害と非行のことがわかる本』
副題:非行への対処法の基礎の基礎
今回ご紹介するのは、小栗正幸著『行為障害と非行のことがわかる本』(講談社)です。折り目は5カ所。
どんな困った行動も、行動そのものを否定するのではなく、そうした行動にむすびつく生活全般に目を向け、問題行動をとる必要性を低下させるのが鉄則です、(56ページ)
「問題行動対応の鉄則」です。その通りだと思います。非行に限らず、たとえば、不登校の問題にも当てはまります。学校の宿題が嫌で「学校に行きたくない」という子がいました。この場合だと、学校に行かないという問題を否定するのではなく、宿題も含めた生活全般に目を向ける必要があるということです。生活全般に目を向けると、その子の生活リズムに問題が見つかったり、ゲームのやり過ぎが問題になったり、あるいは学校が出す宿題の量や質やシステムに問題が見つかったりと、様々な要因に目が行きます。そして、それらを完全に解決することはできなくても「低下」させることならできるかも知れません。それが「問題行動対応の鉄則」です。

勉強をやろうとしない、学校に行きたがらない、働きもせず、ぶらぶらしている―――そんな素行不良の子どもたちにみられる「やる気」のなさは、多くの場合、「がんばってもうまくいかなかった」経験から生み出されています。(61ページ)
私の子育て講座でもよく取り上げますが、成功体験のチャンスは乳児期からすでに始まっています。オムツねれた(不快)→泣く(自分の能力を使う)→お母さんが来る(成功体験) こうした成功体験が意欲的に自分の能力を使う非認知スキルとなって身についていくわけです。
問題行動の中でも、法に触れるような「絶対に許されないこと」をしたときには、毅然とした態度でのぞむことが必要です。子どもとのやり取りを重ねる指導と、混同しないようにします。(74ページ)
「保護者同伴で被害者へ謝罪に行く」「弁償責任を果たす」「警察に知らせて必要な処罰を受ける」などの社会的な責任行動と「子どもへの指導」とは別です。そこを分けて対処するのも親や教師の責任です。