『壊れた家族で生きてきた』
今回ご紹介するのは、最上(さいじょう)うみみさんのコミックエッセイ『壊れた家族で生きてきた』(イースト・プレス)です。
中身はコミックです。しかし、ただのコミックではありません。
父の不倫
母のアル中
弟の失踪
私の自殺未遂
最上さんの人生を描いたコミックです。
7歳の最上さんと4歳の弟、母が違う12歳の姉。どこにでもあるような普通の家族。そこからの半生が綴られています。
私はこのコミックを読んで2つのことを思いました。
一つは、「普通の家族」と「子どもたちの絶望」は隣り合わせであるということ。最上さんだけではありません。私は34年間の教員人生で様々な家庭と接して来ました。皆、「普通の家族」のように見えました。多分、普通の家族だったのでしょう。しかし、その「普通」は誰にとっての普通なのか。誰から見た普通なのか。子どもたちは?
子どもたちほど「普通」を望んでいる者はいないと実感しました。
もう一つは、「生き直し」という重い言葉です。
この言葉を聞いた時、こんな重たい言葉があるのかと驚きました。本の後半はこの「生き直し」が展開します。そして、最上さんは現実に今も生きていらっしゃいます。つい先日はTwitterで私にメッセージも下さいました。私はファンの一人です。ぜひ、皆さんもファンになって下さい。この本に折り目は付けませんでした。